自由で平等である社会において、いかにして権威的関係が正当化されうるのか。この基本的な問題に対して、先行研究を精査した上で、権威を得体の知れないものとしてではなく、可能な限り合理化するような解答を与えた。 この権威論に基づいて、民主的決定の正統性についても検討を行った。単なるくじ引きと比べて多数決による決定が優れているとすればそれはなぜかを検討することで、民主的決定の正統性は一定程度結果のよさに依拠していることを示した。さらに、権威主義と比べて民主制は優位しているといえるのか、経営者による判断と比べて株主総会での民主的決定は優位しているといえるかといった重要な実践的問題に対しても検討を行った。
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