産業構造の転換や人間への社会的投資の促進という観点から、雇用保障・失業保障よりも職業訓練を選好する学術的・政策的議論の傾向が近年ではみられるが、生活保障のない職業訓練は十分に機能しえない。また、生活保障を通じた職業訓練は、職業訓練を通じた生活保障ともセットである必要がある。職業訓練の重要性を説くことが労働者の自己責任を強調し、インディーセントな就労条件を放置するための正当化にならないようにしなければならない。この点ともかかわって、職業訓練に関する責任論が重要である。職業能力の向上による社会的経済的発展という観点からは、職業訓練制度の運営・発展への使用者と国のコミットメントがまずは不可欠である。
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