研究課題/領域番号 |
21K01204
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
大橋 靖史 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (70233244)
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研究分担者 |
高木 光太郎 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30272488)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 供述分析 / スキーマ・アプローチ / 特徴的な欠落 / 鑑定事例 |
研究実績の概要 |
本研究では、まず「供述分析」および「スキーマ・アプローチ」の鑑定事例における情報の「特徴的な欠落」に着目し、その機能を明らかにすることを目指した。そのため、初年度(2021年度)は、「供述分析」の鑑定事例を網羅的に収集し、分析における「特徴的な欠落」の位置づけと機能を解析する作業を行った。またこれと並行し、「スキーマ・アプローチ」の鑑定事例についても、「特徴的な欠落」の位置づけと機能を網羅的に確認する作業を行った。 「供述分析」の鑑定事例の網羅的な収集については、論文や書籍による鑑定事例収集については進んだが(そこでは、供述における体験の流れの問題や、尋問者の影響による供述の問題など、供述という語りが抱える問題が浮かび上がってきている)、実際に鑑定を行ってきた鑑定人への聞き取りについては、コロナウィルス感染症の影響があり、当初の予定通りには進まなかった。そのため、現段階では「網羅的」と言えるレベルには未だ達していない。2年目(2022年度)も引き続きこの作業を進め、「特徴的な欠落」の位置づけと機能を解析することを目指す。 「スキーマ・アプローチ」の鑑定事例については、本研究の研究代表者及び研究分担者が行ってきた鑑定事例がほぼ全てであることから、収集については予定通り完了した。したがって、上述の「供述分析」の「特徴的な欠落」の位置づけと機能が確認されれば、それとの比較をしながら、「スキーマ・アプローチ」の「特徴的な欠落」の位置づけと機能について明らかにすることとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したように、「スキーマ・アプローチ」による鑑定事例については、研究代表者及び研究分担者が行ってきた事例が中心であることから、事例の収集は予定通り進めることができたが、一方、「供述分析」による鑑定事例については、他の鑑定人が実施した鑑定事例を収集する必要があり、「網羅的に」に収集するには、論文や書籍による収集には限界があった。当初の予定では、鑑定人に直接会い、鑑定事例に関する資料を収集したり、インタビューを行うことを計画していたが、コロナウィルス感染症の影響のため、その作業を予定通り遂行することができなかったため、研究の進捗状況は、当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(2021年度)は当初の予定より進捗がやや遅れているが、コロナウィルス感染症の状況が改善されれば、2年目となる2022年度の前半に初年度の計画を完了することを目指している。 それと並行して、2022年度に予定していた、情報の「特徴的な欠落」が供述の信用性と結びつく構造について、理論的・実証的な検討を行っていく予定である。前者の理論的検討については、忘却や情報の欠落に着目した古典的な研究成果に、生体心理学の考え方を取り入れながら、理論的検討を進めていく予定である。後者については、現在行っている鑑定事例の検討により明らかとなる、情報の「特徴的な欠落」をもとに、実験計画を立て、実証的な実験を実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度(2021年度)の実施計画では、「供述分析」の鑑定を実際に行ったことがある鑑定人(研究者)の元に行き、資料を入手したり、面接を行う予定であった。しかしながら、コロナウィルス感染症の影響により、鑑定人(研究者)の元に行くことができなくなった。そのため、旅費や人件費・謝金を今年度は使用することができなくなった。 なお、この計画については、次年度(2022年度)の前半に実施予定である。
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