本研究により、占有移転型担保には独自の機能として設定者保護機能があり取引の迅速化の点では占有非移転型担保に勝る面があること、債権の占有移転は観念的なものではあるが債権回収権限を設定者から奪う機能があることから、占有移転型担保の存在意義は否定できないことが改めて明らかとなった。 したがって、担保物権法の改正をするに際し、担保としての実質を有する制度の包括的規定を置くのでなければ、占有非移転型担保の規定を存置することが適切であると考えられる。そして、何を占有移転型質権の特質と考えるかが問題であり、フランスのように擬制占有概念を取り入れることも含め、占有概念の相違に着目した体系化・分類が必要とされる。
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