研究課題/領域番号 |
21K01360
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
富樫 耕介 同志社大学, 政策学部, 准教授 (80803444)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イリベラル・ペース / ウクライナ戦争 / チェチェン / プーチン / 中央アジア / ジャパロフ / タジキスタン / ナゴルノ・カラバフ |
研究実績の概要 |
本年の取り組みは、第一に、権威主義国による紛争としてロシアのウクライナ戦争についての調査を行った。ロシアがソ連解体後に実施した軍事作戦は、2度にわたるチェチェン紛争(1994-96年、1999-2002年)、ジョージア戦争(2008年)、シリア内戦(2011年)、そして今回のウクライナ戦争であった。これらの軍事作戦を比較し、ロシアが過去の教訓を生かさず、今回の軍事作戦を実施し、泥沼化している状況を分析した。ロシア内部の共和国であるチェチェンもウクライナ戦争においてカドィロフ首長のもと、連邦軍が実施する軍事作戦に大きな貢献をしている。プーチン政権という権威主義体制がロシア全土にあるものだとするならば、その中にあるチェチェンのカドィロフ政権も同様に強固な権威主義体制である。この二重の権威主義体制下で、ウクライナ戦争はどのように実施されているのか、チェチェンの視点から考察した。 第二に、これまでロシアが紛争管理に関与してきた旧ソ連の政治空間においてロシアによる紛争管理が揺らいでいる点に注目した。代表例は2020年に再発し、ロシアの仲介によって停戦に至ったナゴルノ・カラバフ紛争が再び緊張状態に至っているというものである。また中央アジア地域では、キルギスとタジキスタンの国境紛争が再発した。これらは、旧ソ連地域において権威主義国家による紛争管理としてロシアが仲介を担ってきた紛争がウクライナ戦争によるロシアの正統性や管理能力の低下によって不安定してきたことを意味する。本研究では、2020年にキルギスで誕生した新たな権威主義体制であるジャパロフ政権がこのような状況下で、いかに共和国内外の「安定」を実現しようとしているのかについて理解を深めるため、キルギスでの現地調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たに発生したウクライナ戦争によって現地調査が困難になり、また本研究テーマにもかかわるため、情勢分析に追われる事態が生じたことが原因である。
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今後の研究の推進方策 |
イリベラル・ピースについての理論的・事例的理解を深め、権威主義国家であるロシアが遂行するウクライナ戦争が、これまでロシアによって提供されていた「秩序」や「安定」、「平和」にいかなる影響を与えたのかを考察し、またチェチェンのようなロシア内部にある民族共和国にもいかなる影響を与えているのかを考察することに取り組みたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
ウクライナ戦争によりコーカサスでの複数回の現地調査が困難になり、中央アジアへの調査(1回)に代替し、さらに書籍購入などに当てたが、それでも差額分としての残金が発生したため。2022年度には実現できなかった現地調査の実施を模索する。
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