研究課題
本研究では、秩序が揺らぐと、既存規範の受益国が規範外交を展開することで秩序の維持に貢献するという仮説を検証することで、新たな鍵概念である「規範外交」の意義や内容を明らかにすることが目的である。事例として日本と豪州の外交を取り上げる。初年度は、ミドルパワー、パワーおよび秩序に関する文献整理及び理論的枠組みの構築をしながら情報の収集を行う予定であったが、コロナの感染拡大により、海外調査は延期した。しかしながら、緊急事態宣言が解除された時期を利用して、国内調査を行うことはできた。また、これまで対面で行われていた研究者や専門家による会議がオンラインで手軽に開催されるようになった結果、2021年度は研究課題に関連するオンライン会議に頻繁に招待された。これらの機会を利用して、研究成果の途中報告および海外研究者との交流を推進することができただけでなく、分析を深めることができた。こうした研究活動(文献調査や報告・論文執筆)を通して、既存の理論的枠組みの整理を行った。これにより、以下のことが明らかになった。1.本研究の中心概念である「規範外交」は、言葉は使用されているが、理論的な枠組みとしては既存の研究では提唱されていないこと、2.近年盛んに議論されているミドルパワー外交ともアプローチは似ているが多くの点で異なること、3.ソフトパワーとも異なること、が明らかになった。ただし、規範外交の理論的枠組みの構築・精緻化にまでは、まだ至っていない。
3: やや遅れている
多くのオンライン国際会議に出席したため、報告やペーパーの作成に時間がとられ、文献調査を十分にする時間がなかった。そのため、理論的枠組みの構築を終えることができなかった。概ね大枠は見えてきたものの、精緻化までには至っていない。
今後は、文献調査を引き続き行い、理論的枠組みの構築を進めながら、事例研究に取り組む。日本については、今年度も調査を行ったため多少進展がみられるが、豪州については2022年度より開始し、現地調査を行う予定である。場合によっては他の国も調査する必要があるかもしれないが、それについては後ほど判断する。
コロナ感染拡大により出張ができなかったため。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 オープンアクセス 4件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
Collective Economic Self-Defense Against Authoritarianism: Lessons for EU, Institute for Security & Development Policy
巻: NA ページ: 95-102
Panorama
巻: NA ページ: 83-97
Issues and Insights
巻: 21 (2) ページ: 40-48
巻: 21(2) ページ: 28-33