望ましい国際環境協定の実現のために,協定から抜けようとする国に対して加盟への見返りに資金を譲渡する「所得移転ルール」を考える.加盟国間で行う「内部移転」,非加盟国の一部(サポーター)が行う「外部移転」という2種類を分析する. 2つのタイプの国が混在し,各タイプの汚染削減の便益・費用が大きく異なるという強い非対称性の仮定のもとで,内部・外部移転ともに協定を拡大するが,外部移転がより有効であることを示した. さらに外部移転の分析をすすめ,サポーターに関する最小参加国数ルールを適用した場合に,無理のない条件のもとで,サポーター以外の国がすべて加盟する安定な協定の存在を証明し,数値実験により確認した.
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