研究課題/領域番号 |
21K01512
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研究機関 | 名古屋経済大学 |
研究代表者 |
佐藤 純恵 名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (70623388)
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研究分担者 |
野村 友和 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (30507207)
堀江 進也 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50633468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 所得の下方ショック / 経済格差 / 人的資本の蓄積 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、家計レベルの所得への「所得階層を下方へ移動するほどの外生的ショック」が、家計による教育投資の減少を通じて世代間の経済格差の再生産し、元の所得階層へ復帰することが困難になるメカニズムを定量的に明らかにすることである。 そのために、①所得の急激な下方シフトを経験した家計が、将来的に子供の所得を決定しうる教育投資への支出をどのように調整するか、及び②社会的な変化を経験した家計が、将来的に子供の所得を決定しうる教育投資への支出をどのように変化させるか、を実証的に検証する。 これまでの研究では、家計の経済格差が子どもの学力格差や教育格差につながり、次世代の経済状態に重要な影響を及ぼすことが示されてきた。また、世帯所得の構成(夫婦間の収入の組み合わせ)あるいは学歴の構成(夫婦間の学歴の組み合わせ)が、子供の教育に影響することも示されてきた。しかし、これらの研究は家計の経済的・社会的環境が所与であることを仮定しており、環境の変化に応じた家計の人的資本蓄積行動の変化や、子供自身への環境の変化の影響も考慮していない。本研究はこの問題に焦点を当て、外生的環境の変化が次世代の貧困を再生産するメカニズムについて、ハローワークの求人データ、全国消費実態調査と、独自に収集するアンケート調査を用いて定量的な考察を加える。 2021年度は、本研究では外生的ショックとして風水害を取り上げるが、風水害に焦点を当てた分析を行うためのデータ収集を行ってきた。風水害は地域間の発生頻度と被害の大きさが顕著であり、世代間の経済格差再生産についての議論を進める上で、被災による環境の変化の影響と雇用のマッチングについての検証は有効であると考えらえる。また水害の被災地として、熊本県人吉市でのインタビューを含めた現地調査は実施済みであり、次年度は熊本県を分析対象の一つとしてアンケートを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、所得への影響を与える外生的ショックとして災害を取り上げるが、新型コロナウイルスの影響で被災地の現地調査を行う機会が十分になかったため、分析対象とする地域の選定及びアンケート調査の準備が遅れている。2021年度に予定していた具体的な先行研究のサーベイについては順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、分析対象とする被災地域の選定を行うとともに、アンケート調査の準備を進める。新型コロナウイルスの影響による被災地の現地調査の実施が困難となる可能性を考慮し、オンライン上での資料調査も同時に進める予定である。 アンケート調査の実施のために具体的な質問項目を決定し、アンケート調査を行う。その後、収集されたデータが整理され次第、分析作業を開始する。これらの分析結果をもとに、適宜論文という形にまとめ、国内外の学会において報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、2021年度にアンケート調査の実施を予定していたが、アンケート調査の準備段階である被災地の現地調査を新型コロナウイルスの影響で十分に行うことができなかった。そのため、分析対象とする地域の選定及びアンケート調査の準備が遅れている。 2022年度は、早急に分析対象とする被災地域の選定を行うとともに、アンケート調査の設計を行い、実施する予定である。
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