先進国の一般特恵関税制度は、貿易を通して開発途上国の経済発展を支援する政策手段である。開発途上国の企業が特恵関税を活用するためには、輸出する商品が原産地規則を満たす必要があるため、厳格な原産地規則は開発途上国の利用を妨げると批判される。本課題は、原産地規則の簡素化は開発途上国の貿易や雇用を促進する、という因果効果をカンボジアにおいて示した。貿易拡大はフォーマル企業の雇用を増加させる一方、インフォーマル企業には影響しない点も示している。特恵関税の原産地規則は、開発途上国の産業発展とフォーマル化を促進することを明らかにして、特恵関税制度の指針形成に資するエビデンスを提示した。
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