この研究は,戦後日本における租税政策が経済成長に及ぼした影響を分析する.Romer and Romer(2010)によって導入されたナラティブアプローチを採用し,588項目の租税政策の動機・目的を識別して,187の内生的税収変化と401の外生的税収変化に分類した.外生的租税政策がGDPに与える影響は大きく持続的であり,典型的な構造VARの推定値に比べて大きい.1%の租税政策は初期に産出の1.5%の減少をもたらし,12四半期目に-3.6%の負のピークを記録.この発見は,米国におけるRomer and Romer(2010)の結果および英国におけるCloyne(2013)の研究と比較可能である.
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