本研究の学術的意義は、男女の学力差と男女の不平等度の間にU字型の関係があることを示した点である。先行研究では、先進国では男女の不平等度が縮小すると男女の学力差も縮小する傾向にあったが、発展途上国を分析対象に含めると男女の学力差と男女の不平等度との間に相関が見られなかった。この理由については明らかにされてこなかったが、女子の成績が男子の成績を上回る国に男女の不平等度が低い国と高い国があることに気づき、男女の学力差と男女の不平等度との間に統計的に有意なU字型の関係が存在することを示すことができた。この結果、国によっては男女の不平等度を解消しても男女の学力差は解消しないことが明らかになった。
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