研究課題/領域番号 |
21K01562
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
森 祐司 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00526428)
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研究分担者 |
永田 邦和 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 教授 (00323915)
播磨谷 浩三 立命館大学, 経済学部, 教授 (90347732)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 金融機関 / コーポレートガバナンス / 持続可能性 |
研究実績の概要 |
今年度は、2021年6月11日に改訂・公表されたコーポレートガバナンス・コードに沿う形で報告された直近の「コーポレートガバナンス報告書」から情報を収集し、各地域銀行のガバナンス情報、特に内部ガバナンスについて2017、2019年時点と比較分析した。研究成果は日本金融学会西日本部会で報告した。本研究の目的は地域銀行のコーポレートガバナンスの分析であり、それを進めていく上で、変容しつつある足元の地銀のコーポレートガバナンスを直観的にも理解しておくことは、今年度からさらに個々の詳細な分野での分析を行うために必要であった。地域銀行のコーポレートガバナンスはここ数年で大きく変化してきており、会社の体制を監査等委員会設置会社へ移行する地銀が続出するほか、東証一部上場の区分変更を見据えての取締役会の機能の強化、経営中核人材における多様性(具体的には女性社外取締役の確保)へ微々たるものではあるが前進、サステナビリティをめぐる自社の取組の開示、気候変動影響の開示をさらに進めていくこと、独立社外取締役3分の1以上の選任または独立した特別委員会の設置などを進めてきたことを確認した。また、今年度からの本格的な分析の前に、簡単な予備的計量分析を行った。結果、①取締役会規模が大きい地域銀行ほど、経営効率性は低い、②社外取締役比率が大きい地域銀行ほど、経営効率性は高い、③新しい会社制度に移行した地銀の経営効率性は高くなることを確認した。以上の分析結果を踏まえ、今年度から取締役の属性と業績との関係、銀行持株会社の事業戦略・規模拡大などを考慮した分析のほか、頭取(社長)の交代、会長の存在、相談役・顧問制度などその他内部ガバナンスの側面の分析を行っていく。また、政策保有株式の所有とガバナンス、銀行経営リスクへの影響、地域銀行のESG関連の経営改革と経営行動への影響についても考察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大のために、当初予定していたアルバイト学生を集めてのデータの収集整理ができず、研究者自らが少人数で行ったため、データ整理に出遅れがあった。また主たる研究担当者が所属組織を変更することになり、移転準備などのため、停滞することになった。また、共同研究者の播磨谷は昨年度中に海外雑誌投稿のためのネイティブチェックを利用しようとしていたが、やはりコロナ感染拡大の影響により、執筆・投稿作業が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
主たる研究担当者が所属していた以前の組織よりも、移転先の組織の方が学術データベースや統計データベースが充実しているため、これから十分に停滞していた分は挽回できると考えている。研究を遂行する上での課題は、より詳細な研究内容を設定する前に、研究者間での認識の細かいズレであったり、研究ターゲットの微妙な違いがあったが、これまでの研究ミーティングの中で調整し、相互理解を図ることで、それらの違いと詳細な役割分担までを確認することができたので、今年度からは停滞することなく研究を進めることができると確信している。また、再度問題が生じてもオンライン会議を含めてきめ細かくミーティングをしていきながら、解決を図っていく。共同研究者も執筆・投稿作業が今年度にずれ込んだものの、今年度中の海外雑誌投稿を予定して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症拡大の影響により、アルバイト学生を招集してのデータ収集・整理ができなかった。次年度は所属機関も変わることもあるが、データの収集と整理について人的資源も含め投入していくために使用していく計画である。共同研究者も海外雑誌に投稿するためにネイティブチェックのために使用することを考えていたが、やはりコロナ感染拡大の影響により予定が遅れてしまい次年度に予定することになった。次年度には投稿を行うために使用する予定である。
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