研究課題/領域番号 |
21K01580
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
山本 周吾 立教大学, 経済学部, 准教授 (70593599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カバー付き金利平価 / ドル調達コスト / MMF |
研究実績の概要 |
2021年度は文献の整理と収集を主におこなった。また、2022年度から実際にデータベースを基に実証分析を開始するが、必要なデータベースに関する調査もおこなった。具体的には、CRANE DATA を使用する予定である。このデータベースにはMMFに関する詳細なデータが含まれている。この研究のテーマである「邦銀のドル調達問題」を考える上でMMFは重要な要である。 通常、邦銀はドルを調達する際に、ドル建ての預金で調達ができなかったギャップをドルの短期金融市場で調達する。そして、MMFはドルの短期金融市場において、重要な資金提供者となっている。しかし、2007-8年の世界金融危機以降の国際金融規制によって、邦銀はMMFからのドルの調達が困難になった。そのために、邦銀は為替スワップ市場に過度に依存するようになって、カバー金利平価が成立しなくなったのである。 多くの先行研究は世界金融危機以降の国際金融規制の影響や、ドルの調達問題を実証分析するために上記のデータベースを使用しており、本研究もそれに倣い、このCRANE DATAを使用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの情報及び、分析手法の詳細に関する情報が入手できたので、2022年度の方針が明確になったため。
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今後の研究の推進方策 |
データベースを基に実証分析を進展させる。先述したようにCRANE DATAを使用する。MMFによるドルの資金供給に対する依存度に注目して、個々の邦銀がどの程度、為替スワップ市場でドルを調達しているかを定量的に評価する。 具体的には、イベントスタディ的な手法を用いる。国際金融規制の導入の前後でのMMFの動きや、新型コロナ危機による国際的なドル流動性の減少の2つのイベントを使い、ドルの供給ショックと需要ショックをそれぞれ識別する。 同時に、個々の金融機関に関する属性のデータも得られ、資産や負債の構成も考慮して、邦銀のドル調達問題についての研究を深めていく。特に、欧州(特にフランス)の金融機関は資産と負債が両建てで短期の期間であったのに対して、邦銀の場合は資産は長期建てという特性があった。この違いがどのように邦銀のドル調達問題に影響していたのかが、本研究を進める上で重要な鍵となっている。 上記のCRANE DATAとイベントスタディ的な実証分析の手法を用いて、実証分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ危機のために海外の研究会・学会に参加して情報交換する機会がなかったために、旅費を計上することができなかった。 よって、今年度は、データベースの購入が主な使用計画である。具体的には、CRANE DATAを購入して、米国の主要な短期金融市場の供給主体であるMMFの実態の解明に努めたい。
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