研究課題/領域番号 |
21K01609
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
結城 武延 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80613679)
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研究分担者 |
平野 恭平 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10509847)
酒井 健 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60757061)
小林 延人 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (80723254)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 日本経済史 / 日本経営史 / 繊維産業 / 企業文化 / 労務管理 / 経営史 |
研究実績の概要 |
2022(令和4)年度は新型コロナウィルスの収束していなかったこともあり、資料調査を開始したものの、複数回にわたる資料調査を行うことはできなかった。他方、実施した資料調査で得られた資料と知見(OBによるヒアリング)は多かったため、それらを研究代表者と研究分担者・研究協力者と共有した。そのうえで今後の資料調査及び目録作成のための研究計画や論点を議論した。具体的には次の通りである。 ①仮目録と撮影画像との照合、②図面資料の確認と東洋紡績等他社及び鐘紡の別工場との比較、③企業文化に関わる資料の選定と分析:本社―工場間の関係や従業員教育・女子教育など労務管理、④③と関連して労働運動に関する研究、⑤地域社会・経済との関係、⑥⑤と関連して同地域同業他社との関連:とくに製糸結社「依田社」や「信濃絹糸紡績」(依田社の子会社―現「シナノケンシ」)が重要であると考えられる、⑦丸子鐘紡が日本で最後の絹糸紡績工場となるが、なぜ、丸子が最後まで存続しえたのか等である。 くわえて、以下の点がヒアリングから判明した。丸子工場で行っている工程は絹糸紡績の上で重要な工程、特に精錬はセリシンを苛性ソーダや石けんを用いて落とす工程で、化学工業の性格が強い。そのあとの製綿以降の工程は、形状変化のみである。戦前期には9の絹糸紡績工場があったが、戦後は3工場へと数を減じ、新町工場を休止して以降は、丸 子工場は鐘紡唯一の絹糸紡績工場であった。鐘紡は他社を買収しながら経営規模を拡大していった企業であるが、中でも丸子工場は自社で一から設計・経営を推進した貴重な工場である。そのため、実際の設計・建設を担ったのは清水建設だが、鐘紡の理念が反映されている可能性が大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1 新型コロナウィルスが依然として収束していなかったため、対面での研究交流は難しくなったため、2022(令和4)年度は主にメールの回覧及びオンライン会議を実施し、メンバー間での情報共有を行った。 2 新型コロナウィルスの未収束のため、資料調査の日程確保が難しく、予定よりも少ない資料調査となった。他方、実施した資料調査で得られた撮影資料とOBからのヒアリングの成果は多く、それらを研究分担者・協力者と共有して、今後の資料調査・目録作成する上での研究計画を立案した。 3 以上のことから、まずは先行研究の整理による論点の再確認を行うことで、2023(令和5)年度の資料調査をより円滑かつ効果的に行う下準備を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
1 資料調査の受け入れ先と調整を行い、2023年度の6月から9月にかけて計3回程度の資料調査を行う。必要に応じて、10月以降も2、3回の資料調査を予定している。 2 1に合わせてメンバーとの研究会は対面及びオンラインにより定期的に行うことを予定している。研究会を通じて研究進捗状況の情報交換を行い、研究代表者と研究分担者が協力して、資料整理と目録作成を行うことを2023年度の最重要課題として進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はコロナウィルスが未収束であったため資料調査よりも文献調査を優先して実施したため、物品費が予定よりも超過した。そのため、2023年度は物品費を減らし資料調査を優先的に行うことで当初の計画通り進めるよう補正する予定である。
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