研究課題/領域番号 |
21K01822
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松原 沙織 東海大学, 政治経済学部, 教授 (10514961)
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研究分担者 |
遠藤 貴宏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20649321)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 女性会計士 / ロールモデル / 監査法人 / 女性活用 |
研究実績の概要 |
世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」の低迷に如実に示されているように,日本社会の課題の1つは女性の活用を推進することである.これは,専門職の一角を成す会計士に関しても同様である.実際,会計士の多くが所属しているBig4と呼ばれる大手監査法人に関して,女性会計士の割合は低い水準にあり,特に最高位であるパートナーの職位に就く女性会計士は少ない. 以上を踏まえ,本研究は,ロールモデルの提供者(最高位であるパートナー)と使用者の間に,齟齬が生じているのか否かについて,女性会計士への丁寧なインタビューを通じて探っていく.インタビューを用いるのは,Adamson & Kelan (2019)の指摘するように,ロールモデルの3要素は,文脈依存的な側面が大きいため,情報提供者の置かれた状況を丁寧に理解していくことが不可欠だからである. 初年度は,レビューと分析視角に関する論文を執筆し理論的な観点からフィールド調査の準備を行った.具体的には,既にロールモデルに関する主要な論文を抑えているが,初年度にはこれらを詳細に再検討し,Google Scholar等のデータベースを用いて,キーワード検索 (role modelを想定している) を行い,システマティックな文献レビューを行っている.さらに,ロールモデル提供者側(最高位であるパートナー)のインタビューのうち7割を終えることができた.今年度の研究の成果として,女性会計士のロールモデル使用者の特徴に焦点を当てた内容を国際学会「Society for the Advancement of Socio Economics 33rd Annual Conference」で報告し,サジェッションを得ている.加えて,先行研究を整理し分析視角についてまとめた論文が,2022年度に公表されることが決定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は,順調に研究が進み,レビューと分析視角に関する論文を執筆し理論的な観点からフィールド調査の準備を行うことに加えて,ロールモデル使用者側の聞き取り調査のうち7割を終えることができた.さらに,当初の予定通り,国際学会「Society for the Advancement of Socio Economics 33rd Annual Conference」での報告と論文執筆を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り進めて行く. 【2022年度,2023年度,2024年度】3年間かけてロールモデル提供側とロールモデル使用側の双方にアプローチし,インタビュー調査とデータ分析を推進した上でそれぞれの視点から執筆する.【2025年度】最終年度は,インタビューデータの分析を完了し,日本の女性会計士に関してロールモデル使用者と提供者の齟齬に焦点を当てた論文を完成させる.国際学会で発表の機会を探りブラッシュアップしていく.会計分野の国際ジャーナルに投稿することを想定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者であるRick Delbridge教授を,フィールド調査の打ち合わせのため日本へ招聘することを予定していたが,Covid19の影響により延期となったため翌年度分へ繰り越すことになった.したがって,2022年度に招聘することを予定している.
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