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2021 年度 実施状況報告書

精神障害をめぐる病識概念と認識的不正義:症例報告と手記を対象とした概念分析的解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K01881
研究機関三重県立看護大学

研究代表者

浦野 茂  三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (80347830)

研究分担者 喜多 加実代  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30272743)
早川 正祐  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任准教授 (60587765)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード病識 / 認識的不正義 / 精神医療 / 概念分析
研究実績の概要

現在の日本の精神医療は、精神障害当事者の意思と価値観を基軸にした支援・治療・研究開発の意義が認められつつあるものの、その実現にとって多くの障壁が残されている状態にある。数あるこうした障壁のうち、本研究は精神医療そのものにそなわる認識方法である病識評価に着目し、これが精神障害の経験を理解し表現するための概念的資源を構造化し、制約してきた状況を解明する。解明の対象には、戦後から現在にいたる日本の主要精神医学雑誌記事(症例報告および病識概念をめぐる論評)と当事者による手記を設定し、その叙述における関連概念の用法を具体的に分析する。この作業を通じて本研究は、精神障害の経験を理解し表現するための既存の概念的資源のあり様にそなわる倫理的問題を明らかにし、その改良に向けた提言を行うことを目的とする
以上の目的にもとづき、2021年度に実施したのは次の3つである。
(1)病識概念の検討:病識(insight)とは精神障害をもつ人の自己認識能力を評価するための医学的概念であり、また病識欠如(lack of insight)とはこの能力の欠如した状態をいう。このような病識・病識欠如の概念にそなわる倫理的な問題について、文献的資料によりながら把握を行った。
(2)精神科医療における病識概念の機能の検討:精神科医療の実際の状況において病識・病識欠如の概念の担っている機能について検討を行った。とくに病識欠如の概念が、精神障害の症状のもつ社会・道徳的性質に対する医学的対応手段として重要な機能を果たしていることを確認した。
(3)資料収集:分析対象となる資料の収集を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

概念的検討については順調に進んでいる。他方、分析対象となる資料の収集については、新型コロナウイルス感染対策のために関連図書館が行っている入館制限のために作業が遅れている。

今後の研究の推進方策

病識概念の倫理的観点からの検討を進める。また、分析対象となる資料の収集を継続するとともに、分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じたのは、2021年の新型コロナウイルスの感染状況を受け、資料収集および研究会開催を控えたことによる。2022年度においては、感染状況の把握しながら、必要な場合には代替案(資料購入等)を検討しながら研究を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 精神科訪問支援場面における「媒介された対話」の構造:地域生活支援のエスノメソドロジー2021

    • 著者名/発表者名
      浦野 茂
    • 雑誌名

      現象学と社会科学

      巻: 4 ページ: 43-62

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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