研究課題/領域番号 |
21K01938
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
乾 順子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (00716897)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 同居意識 / 扶養意識 / 介護意識 / 老親と成人子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、性別分業や老親に対する家族意識の趨勢を分析し、年齢、時代、コーホート、性別による意識の変化の差異を明らかにすることである。 今年度は、先行研究の収集、整理を行い、マルチレベル分析、APC分析手法についての研究を行った。分析については、NFRJ98,03,08,18の4時点のクロスセクションのデータの記述的な分析を行った。調査項目で用いる主たる質問文は以下の3つである。「親が年をとって、自分たちだけでは暮らしていけなく なったら、子どもは親と同居すべきだ」「年をとって収入がなくなった親を扶養するのは、子どもの責任だ」「親が寝たきりなどになった時、子どもが介護するのは当たり前のことだ」それぞれの意識の規定要因のついて基本的な分析を行い、その結果を大阪府立大学女性学研究センター主催の公開講座で発表した。また、報告書論文を執筆し、オンラインで公開した。 NFRJ98,03,08,18の4時点のクロスセクションのデータ分析を行った結果、現時点の分析手法では、老親の扶養、介護、同居意識ともに男性が肯定的であり、同居しているという実態が肯定する意識と正の関係にあった。扶養意識のみに世帯収入が効果があった。年齢を考慮に入れず、調査時点と出生コーホートに焦点を当てた分析では、調査時点が大きな効果をもち、調査時点が近年になるほど意識は否定的となり、高度成長期から団塊ジュニア世代が、団塊世代よりも肯定的な意識を持っていた。また、女性内で学歴や就業形態によって意識の差が見られた。女性の義母の施設介護に関する意識の分析では、夫の姉妹の有無との関連が見られた。介護は女性の仕事・実の娘の仕事という意識が垣間見られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初予定していた分析と分析手法の研究を行うことができた。上記にも記載しているが、次のような結果を得ている。 NFRJ98,03,08,18の4時点のクロスセクションのデータ分析を行った結果、現時点の分析手法では、老親の扶養、介護、同居意識ともに男性が肯定的であり、同居しているという実態が肯定する意識と正の関係にあった。扶養意識のみに世帯収入が効果があった。 年齢を考慮に入れず、調査時点と出生コーホートに焦点を当てた分析では、調査時点が大きな効果をもち、調査時点が近年になるほど意識は否定的となり、高度成長期から団塊ジュニア世代が、団塊世代よりも肯定的な意識を持っていた。また、女性内で学歴や就業形態によって意識の差が見られた。 女性の義母の施設介護に関する意識の分析では、夫の姉妹の有無との関連が見られ、介護は女性の仕事・実の娘の仕事という意識が垣間見られた。
|
今後の研究の推進方策 |
老親に対する同居、扶養、介護の意識の趨勢とそれらと関連する変数を明らかにすることにより、家族変動を家族意識の側面から検討し、家族変動に関する理論の発展に貢献する。 老親同居・扶養・介護に関する意識の分析の精緻化を行う。令和3年度に行った分析をさらに精緻化し、マルチレベル分析を行って、時代、コーホート等の変数との関連をより詳細に検討する。特に若年世代と高齢世代において、老親同居、老親介護の意識が強まっているのか否か、男女間や学歴間の相違、従業上の地位や子どもの数等との関連を検討する。 以上の分析をまとめて順次学会発表を行う。学会報告でいただいたコメントをもとに修正を行い、論文の執筆に取りかかる。適宜、学会以外の研究会でも報告をし、ブラッシュアップを図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
大学内の図書等を活用できたため。
|