研究課題/領域番号 |
21K02198
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
尾上 雅信 岡山大学, 教育学域, 教授 (40177275)
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研究分担者 |
高瀬 淳 岡山大学, 教育学域, 教授 (00274035)
平田 仁胤 岡山大学, 教育学域, 准教授 (50582227)
梶井 一暁 岡山大学, 教育学域, 教授 (60342094)
小林 万里子 岡山大学, 教育学域, 准教授 (90325134) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教員養成 / 教育史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、フランス、イギリス、オーストリア(ハンガリー帝国)、ロシア、そして日本を具体的な研究対象としてとりあげ、各国相互に如何なる影響関係のなかで教員養成の改革を展開してきたか、その具体的な実態を明らかにすることにより、特定モデルの受容パターンを解明し類型化をめざすところにある。本年度は4か年計画の初年度であり、基礎的な作業段階の第1年度である。対象各国における、個別の教員養成発達史の実態解明のため基本的な資料収集を行うとともに、その実態の特質解明に向けての取り組みを、基本的な研究課題とした。具体的には、①教員養成の理念(目的)と思想(ペスタロッチ主義とヘルバルト主義を対象)、②教員養成の制度的な内容(養成機関・教育課程・免許と任用など)、③その時点における改革の動向・経過、課題、などを精査することであった。資料収集については、残念ながらコロナ感染による海外渡航制限、また国内移動の制限もあり、所期の目的を達成することはできなかったが、オンライン購入や国内での刊行文献購入を行なうことはできた。また、共同研究としての取り組みも、簡単な意見・情報交換は定期的に行なうことができたうえに、第1回の研究会(2021年9月13日(月):岡山大学)を実施することができた。研究発表は、「フランスの場合 ─ 七月王政(1830年代)における初等師範学校制度(男子)成立へのドイツ(プロイセン)の影響」(尾上)、「イエナ大学の教育学ゼミナール:ブルツォスカの思想と実践」(小林)、「明治期日本への西洋教育の影響に関する一考察 ─ 一斉教授の伝播と実際」(梶井)、「イギリスにおけるジャーマン・インパクト」(平田)であった。これらのことから、初年度としては当初の目標をおおむね達成することができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集については、コロナ感染状況による渡航制限のため海外出張はできなかったが、当初の計画に従い、各分担者が事前の文献調査に基づき国内外からオンライン購入などにより必要資料をある程度収集することができたことに加え、一部は原資料(原典の復刻版)も入手することができたこと。さらに、未だ個別的な研究成果ではあるが、収集した資・史料の分析に基づいた研究成果の一部を、所属大学内ではあるがメンバー全員で研究会として口頭発表し、相互に情報と意見交換を行うことができたこと、さらに副産物として、研究代表者が編者の一人となりメンバー全員が分担執筆に参加し刊行した大学の教育史テキストに、今回の研究内容も盛り込むことができたことなどから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
全体として、初年度は研究全体の準備段階としての当初の目標をおおむね達成することができたが、分析対象各国それぞれ資料も未だ不十分であり、次年度も継続して各対象国の教員養成関連文献・資料、さらに原資料を積極的に収集するよう努める。コロナ感染による内外の移動制限緩和等の状況により、できれば海外渡航及び国内出張による内外の大学及び図書館などで資料収集に努めたい。さらに次年度には、収集した資料に基づき各対象国ごとの個別的な分析、すなわち19世紀における教員養成の思想的・制度的な実態と改革状況の調査分析に取り掛かることを第1の目標とするとともに、第2の目標として、共同研究として各国の影響関係を分析するための仮説的な分析枠組みの構築と提示を具体的な到達目標とする。そのために継続的な研究打ち合わせ会・研究会を実施する。さらに、この仮説的な枠組みに基づいて一部の個別的な分析成果を整理し、教育史関係学会で共同発表を行うことを目ざしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は研究対象国に直接赴き、大学・図書館・文書館などで原資料を中心とする資料収集の実施を計画していたが、コロナ感染状況に伴う出入国制限禁止・厳格化のため、これらの計画をまったく実施することができなかった。あわせて、国内の移動も制限されたため、国内の大学及び国会図書館、公立図書館等における資料収集も実施することができなかったため、計上した旅費をほとんど使用することができなかった。さらに、研究分担者(小林万里子准教授)の転出に伴い、その未使用額が残されたためである。この次年度使用額については、当初の計画に追加して、移動制限緩和などの状況変化に期待し、次年度(以降)国内外の出張旅費として使用すること、及び国内書店を通じて入手可能な海外の図書を購入することにより、確実に使用することを計画している。
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