研究課題/領域番号 |
21K02274
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研究機関 | 倉敷芸術科学大学 |
研究代表者 |
高木 加奈絵 倉敷芸術科学大学, 学内共同利用施設等, 講師 (50880978)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育職員免許法 / 教育労働の特殊性 / 教員身分法制 |
研究実績の概要 |
今年度は、国立公文書館資料、先行研究の収集と整理を主として行うとともに、日本教職員組合が所蔵していた資料のデジタル化、関係者へのヒアリングと、地方単組の資料所蔵状況の確認を行った。 教育職員免許法については、戦後初期の身分切り替えに伴う教員身分の法制化とその改正が目まぐるしく、1947~1948年と、1950年代の状況を把握することに膨大な時間がかかったため、教員身分法制や教員養成制度にお詳しい元立正大学教授の浪本勝年氏にノウハウをうかがうためのヒアリングを実施した。 また、比較的古い資料を多く所蔵しているとされる広島県教祖に伺い、書庫にある一次資料群を閲覧させていただいたが、箱数が多いため、箱につけられているタイトルからはこの内容を把握し、どこに何があるのかの地図を作るという作業を行った。どうやら、戦後初期の資料が保存されていないようではあったが、1950年代後半からの裁判記録や証拠関係が保存されているらしいということがわかったので、1940年代後半に教員身分の法制化が進んでいった際に積み残していった問題が、その後の時代に現実的な問題として顕在化していったことを物語る資料が大量に残されているようであった。 急いでデジタル化を行う必要のある資料は、広島県教組には見当たらないように思われたが、日本教職員組合が所蔵している資料のなかには劣化が激しい資料が散見されたため、今年度は劣化が激しい資料を優先的にデジタル化をさせていただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育職員免許法の制定、改正状況の把握にかなりの時間を要している。日本教職員組合の教育職員免許法闘争の状況を追うことにはそこまでの時間を要さなかったが、かなり専門的な内容や、当時の公務員法制との比較が必要になる箇所も多いため、議事録を正確に読み取るための勉強に膨大な時間を要した。 自分一人ではとても理解できないと考えていたところ、元立正大学教授の浪本勝年先生からレクチャーを受ける機会をいただき、勉強させていただいた。その際、浪本先生の師匠であり、日本教職員組合ともかかわりが深かったとされる宗像誠也・元東京大学教授(故人)のお話や、講義ノートを閲覧させていただき、宗像先生と日本教職員組合や教育運動とのかかわりの一端を垣間見ることもできた。 教育労働の特殊性に関する議論は、本務が激務であったため、なかなか国立国会図書館や東京大学教育学部図書館に赴く時間を設けることができず、教育刷新委員会の議論をつかむところまで到達できていない。
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今後の研究の推進方策 |
教員研修制度に対する日本教職員組合の動きがいまだ手付かずとなっている。これは、教育職員免許法の議論の際の認定講習制度とかかわりがあるようなので、まずは教育職員免許法闘争について、いくつかの論文を執筆しながら、勉強していく必要がある。 また、教育労働の特殊性の議論については、教員給与の問題や教育制度の問題、地方公務員法の制定に関する議論など、様々な箇所で登場しているため、日本教職員組合の議事録の中で、教育労働の特殊性を論じている個所をピックアップする作業を行う必要がある。 さらに、地方単組での資料調査が新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れてしまったので、今年度は岩手県教組での調査を行いたいと考えている。
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