研究課題/領域番号 |
21K02299
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
牟田 博光 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 特別研究員 (70090925)
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研究分担者 |
下田 敦子 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 准教授 (60322434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 標準学力調査 / 教授言語 / 家庭言語 / 言語補助教員 / 推移率 / 学習環境 / 平等性 / 卓越性 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、ミャンマーの基礎教育学校における、学力の大きな要因である基本的な学習環境の地域間格差の分析に加え、平等性と卓越性の指標となる学力に関して、以下の2つの詳細な研究を行った。 1.基礎教育学校の教授言語は一般に標準言語であるミャンマー語が用いられるが、教授言語が家庭語でない子どもにとっては授業内容の理解の問題が生じると考えられる。2019年にミャンマー国を含むASEAN6カ国で小学校5年生を対象に算数、読解力、書き方の標準学力調査が実施された。調査データには児童の学力のみならず、それに影響を与えると考えられる諸要因も含まれている。分析結果として、学力を説明する政策的な要因として最も重要なのは教授言語であるミャンマー語と児童が家庭で用いる言語の一致である。家庭の言語がミャンマー語でない場合、特に書き方の学力で明確に低いが、算数でも差が見られる。言語の問題は特に学力の低い層で深刻であり、家庭言語を理解できる補助教員や補助教材の活用が必要である。 2.教育省はミャンマー語を家庭語としない少数民族の学力向上のため、TA(テーチングアシスタント)と呼ばれる言語補助教員を臨時採用教員として、全国の必要な学校に配置し始めた。TAは特定の教科は担当しないが、各種の言語的学習支援を行っている。このTA配置政策が果たして効果があるかどうかを検証するために、2018年度のデータを用いて学力と学年間推移率を2018年度のTAの数を含む様々な要因に回帰することにより、児童総数に対するTAの数が小学校課程5年生の年度末試験結果を有意に説明出来る事を示した。さらに、TAの数が相対的に多いほど、小学校課程の学年間推移率も高い事を明らかにし、TA配置政策の効果が高い事を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績に示すように、概ね計画どおりに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度はコロナ禍を理由とする渡航制限により現地調査ができなかったが、令和4年度は事態の改善が期待されるところから、現地調査を行い、教育省の関係者と面談してこれまでの分析結果の有効性を確認をすると共に、新しい統計なども入手し、できるだけ当初の計画に沿って、研究計画を遂行する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度にミャンマー国での現地調査を予定していたが、コロナ禍の入国制限により調査ができなかった、令和4年度は状況が改善しているところから、現地調査を実施することにより使用を予定している。
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