研究課題/領域番号 |
21K02299
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
牟田 博光 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 特別研究員 (70090925)
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研究分担者 |
下田 敦子 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 准教授 (60322434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ミャンマー連邦共和国 / 基礎教育 / 就学率 / 出席率 / 反事実的状況 / 地域間格差 / クーデター / 学習環境 |
研究実績の概要 |
2021年2月クーデター後のミャンマー連邦共和国の基礎教育の現状を明らかにするためには、各種資料に記載されている数値の多寡を何かと比較する必要がある。教育制度改革が進行中であること、2020年度は児童・生徒全員が留年となって新入生のKGがほぼ通常の倍になったことなどから、クーデター前後の数値を直接比較してもあまり意味がない。その為、クーデターによる混乱がなければ得られたであろう就学者数をまず推定して、それとの比較で2023年度の就学者数を評価した。在籍率(現実の在籍数/在籍数の傾向値)は全国平均で小学校課程87%、中学校課程65%、高校課程44%、全体75%と計算された。教育課程が高いほど、在籍率が低い。さらに、州・管区別の差が大きい。ネピドー特別区は小中高全体でも91%の値を示すのに対し、政治的混乱が見られるザガイン管区は27%、カヤ州では33%に過ぎない。 地域の政治状況によっては、学校に在籍はするものの、実際には登校しない、という行動を余儀なくされる場合もある。その典型はカヤ州で、実際の在籍者に占める出席者はほぼ半分である。実質登校者率は全国で72%と計算される。KGからG9まで就学する者は現状では就学予定人口全体の66%と計算され、クーデターがなければこの値は87%と計算されるところから、その差21%ポイントが政変の影響を受けたことになる。 基礎教育の仕上げである高等教育進学に必要なマトリキュレーション試験に関しては、受験者数が激減した。2020年から2022年、2023年にかけての受験生数の落ち込みは全国一定ではなく、政治状況によって州・管区による差が大きい。 全研究期間を通じ、民主化政権下で、コロナ禍前までは基礎教育学校における平等性と卓越性は著しく改善したが、2021年のクーデター以後、特に紛争地域において、多くの問題が生じた事を明らかにした。
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