研究課題/領域番号 |
21K02325
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
上田 裕美 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80302636)
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研究分担者 |
小崎 恭弘 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20530728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ケアリーバー / 居場所支援 / ピア・サポート |
研究実績の概要 |
本研究は、青年期のケアリーバー(児童養護施設や里親のもとを巣立った方たちのこと)への支援の1つとしてピア・サポート(当事者間活動)に着目し、社会的養護における当事者活動の特色や課題を明らかにすることを目的としている。2022年度は、ケアリーバー(児童養護施設等を退所した方たち)同士のピア・サポートのあり方を考えるために、アフターケア事業を行う支援団体を対象に2021年度に行った質問紙調査の結果を精査し、学術論文として成果発表した。41事業所を対象に調査票を郵送し、22事業所から回答を得たこの調査では、いずれの支援団体も資金と人員配置が課題だと認識しており、支援者が身銭を切って援助しているケースがあることも把握された。また、ケアリーバー同士の集団づくりやリーダーシップを発揮する当事者の育成、なども支援の困難として把握された。居場所の支援のねらいについて、利用者の孤独や孤立感を解消し、困難や大変さを分かち合える人間関係を築くことが重視される傾向が顕著だった。また、ケアリーバーへの支援では、利用者を孤立させないこと、「つながりを維持し続けること」が一番大切でありで、直接の物資支給やアウトリーチを伴う生活困窮への援助も特色として把握された。 さらに、ケアリーバーである大学生を対象に、ピアサポートのニーズを把握するための聞き取りを行った。当事者への精神的なケアは重要であるにもかかわらず、十分な資源がないこと、里親のもとで暮らした子どもへのアフターケアの法的規定がないこともあり、支援の充実が必要であること、一方で当事者であることを語ることで傷つく危険性もあること、などが把握された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、ケアリーバーである大学生を対象に、聞き取り調査とピア・サポートに関するニーズを把握するための質問紙調査を予定していた。質問紙調査についてはまだ実施できていないため、2023年度に聞き取り調査の結果を踏まえて実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、青年期のケア・リーバーへの支援の1つとしてピア・サポート(当事者間活動)に着目し、社会的養護における当事者間活動の特色や課題を明らかにすることを目的としている。2023年度は、昨年度に実施したケアリーバー当事者への聞き取り調査の結果を丁寧に分析・読み取り、当事者が行うピアサポート活動の特色と課題を整理したいと考えている。この聞き取り調査の結果は、日本子ども虐待防止学会において口頭発表する予定である。 また、聞き取り調査の結果を踏まえて、ケア・リーバーである大学生を対象に、ピア・サポートのニーズを把握するための質問紙調査を実施することを計画している。調査票の郵送にあたっては、ケア・リーバーへの奨学助成を行うNP0法人の協力を得る(すでに同基金からは承諾を得ている)。調査項目の作成・結果分析は上田と小崎が分担して行い、研究統括は上田が行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施予定だった質問紙調査をまだ実施していないため、次年度使用額が生じた。次年度に繰り越し調査を実施する予定である。
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