研究課題/領域番号 |
21K02380
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
水野 賀史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (50756814)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 注意欠如多動症(ADHD) / 機械学習 / サブタイプ / ABCD Study |
研究実績の概要 |
米国における、約12000名が参加する大規模な縦断的多施設共同研究ABCD (Adolescent Brain Cognitive Development) Studyのデータベースを活用して、教師なし機械学習によるADHDのサブタイプ研究に取り組んだ。 データをクリーニングし、ADHD群656名、nonADHD群6601名を抽出した。ADHD群に対して、認知機能検査のデータに基づいて階層的クラスタリングを行い、3つのクラスターに分類した。3つのクラスターは全体的な認知機能が高いAタイプ、処理速度が特に低いBタイプ、全体的に認知機能が低いCタイプに分類された。今後は各サブタイプごとの臨床的特徴と脳画像の特徴について検討していく予定である。 また、同様にABCD Studyのデータを活用し、COVID-19パンデミックの子どものメンタルヘルスに対する影響と、それに対する親のかかわり方の影響を調査した。4,702人の子どもの縦断データを解析した結果、COVID19パンデミックが子どもの抑うつ症状と注意力の問題を有意に悪化させること、前向きな親子関係は、思春期の子どもの精神的健康に保護的な影響を与えていることを明らかにした。この成果は2022年、国際科学雑誌Scientific Reportsに掲載された。 さらに、ABCD Studyの約12000人の認知機能と脳構造画像のデータを用いて、妊娠中の大麻使用が児の認知及び脳発達のプロセスに与える影響について検討した。その結果、妊娠中の大麻暴露群は、非暴露群に比べて、視知覚に関わる認知機能と頭蓋内容積の変化が小さいことが明らかとなった。この研究成果は2023年に国際科学雑誌Developmental Cognitive Neuroscienceに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ABCD Studyのデータを活用し、2つの学術論文を出版することができた。さらに、ADHDのサブタイプ研究についても、解析は順調にすすんでおり、一部の解析結果は出つつある状況にある。2023年度中はさらに解析をすすめて、論文を投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、各サブタイプの脳画像の特徴を明らかにするために、解析をすすめ、その結果に基づいて論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響で海外出張を控えたこと、人件費を他の研究費から当てたことなどにより次年度使用額が生じた。 本年度はコロナウイルス感染症の制約が解除されてきており、海外出張、学会発表に使用する経費や、論文出版に伴う諸費用にも使用していく予定である。
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