研究課題/領域番号 |
21K02418
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研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
藤掛 絢子 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 講師 (20809008)
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研究分担者 |
北野 幸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90309667)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 保育者養成教育 / 実習 / 保育実践現場 / 大学での実践と実習の往還性 / 音楽表現領域 |
研究実績の概要 |
本研究は、実習との往還を図った音楽表現領域における保育者養成教育プログラムと評価の開発を目指すものである。本年度は、(1) 基礎資料の収集 (文献調査)、(2) 保育者養成教育プログラムの実施、結果の分析、(3) 国際学会での発表、情報収集をおこなった。
(1) 国内外の保育者養成教育、実習教育や評価についての文献を収集し、次年度以降のルーブリック作成や保育者養成教育プログラムの開発に向けた基礎資料を得た。具体的には、アメリカの全米乳幼児教育協会(NAEYC)や教員養成認証協議会(CAEP)等の全米における専門組織や、州によって規定されているスタンダードから、保育者養成にあたっての保育者の専門要件や基準を検討した。個別の実践事例については、各大学での実践や実習評価にかかわる文献を参考にし、保育実践力の養成に向けた特徴的な取り組みから知見を得た。これらの資料には、大学や保育実践現場での学びや、その往還についての記述がみられ、スケールを用いた省察や学びの促進、映像を活用した実践が効果的になされていることが示唆された。文献調査は、次年度前半までの計画であるため、引き続き、資料収集を進める予定である。 (2) 実践研究として、音楽表現領域における保育者養成教育プログラムに関するデータを分析し、学生の学びの特徴を明らかにした。加えて、新たに、保育者志望学生の子ども理解や省察を深めることを意図した、保育者養成教育プログラムの実践をおこない、学生のパフォーマンスや学びの特徴を分析した。大学と保育実践現場における学びの往還性を確保することによって、欧米に比べて実習期間が短く、実習プロセスの評価に課題のみられる日本においても、学生の子ども理解力や保育構想力を養成することが可能となることが示唆された。 (3) 国際学会において2件の発表をおこない、議論を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、アメリカや日本における保育者養成教育にかかわるスタンダードや実践事例を収集し、保育者の専門要件や学びの評価の在り方への示唆を得た。この文献調査は、次年度前半までの計画であるため、今後継続して実施していく必要がある。一方で、実践研究として、実習との往還を図った保育者養成教育プログラムの実施と、その結果の分析に着手した。これは、次年度以降のルーブリック作成や、保育者養成教育プログラムの開発のための基盤となるものである。加えて、国際学会における発表、および、情報収集をおこなうとともに、次年度に向けて研究構想の具体化を図った。さらに、岡山市教職員研修講座の講師として、生活や遊び場面における子どもと音・音楽とのかかわりを起点とした保育実践の構想や、子どもたちの声を聴きながら音楽表現実践を創り出していく意義について発信し、保育関係者との対話の場をもつことができた。このような点から、総合的に考え、進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の主な研究計画は、以下のとおりである。(1) 音楽表現領域の保育者養成教育プログラムでの活用を想定し、評価ルーブリックに盛り込む内容を検討し、精査する。文献調査、および、保育実践現場における実態調査 (保育観察、聞き取り調査)を実施する。(2) 研究開始当初の計画では予定していなかったが、新たな研究フィールドの確保ができたため、新規に保育者養成教育プログラムの立案と実施を検討している。(3) 国際学会に参加し、情報収集や共有を図る。また、研究成果の発信をおこなう。 上記(1)(2)については、コロナウイルス感染拡大の状況をみながら、その都度、研究実施の可能性を適切に判断し、研究を遂行していきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に動画撮影用機器を購入する必要が生じ、今年度予算の使用を安価におさえたため。また、次年度は、資料・文献の購入、保育実践現場での調査旅費、動画撮影用機器、学会参加費等に使用する予定である。
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