研究課題/領域番号 |
21K02442
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
黒山 竜太 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30533468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小学生 / レジリエンス / 心理教育 / 動作法 / 心理劇 |
研究実績の概要 |
昨今,ストレスマネジメントという概念は広く学校教育に浸透してきているが,具体的にどのように行えばよいかについては現場によって試行錯誤が続いている状況である。また,近年大規模な災害が頻繁に発生していることから,平常時から担任教員を含めた通常学級規模でのストレスマネジメント教育のさらなる展開が必要である。これまでストレスマネジメントに関する研究は数多く行われているが,レジリエンスを中軸に据えたプログラムの開発は途上である。よって本研究では,小学生に対するレジリエンスの賦活化による新しい体験的心理教育プログラムの開発を行うことを目的とする。そして,本研究では児童の体験的側面を重視し,かつ,小学校での学級単位で担任による授業枠内での実施を可能とするために,プログラムのパッケージ化を目指す。 1年目においては,小学生のレジリエンスを測定するために適切な方法は何かについて検討を行うため,主に文献レビューを行った。例えば中島ら(2020)は過去のレジリエンス研究を参考に小学生用レジリエンス尺度を開発している。一方,平野(2010)はレジリエンスを資質的要因と獲得的要因に区別しており,心理教育においてはこうした視点を取り入れることが重要であると考えられた。また江村・大久保(2012)は大学生用適応感尺度を参照した小学生用学級適応感尺度を開発しており,レジリエンスを測定する際に参考にすべき観点であると考えられた。なお,質問紙による回答は小学4年生以上が適当であると多くの研究が示していることから,本研究でも小学4年生以上を対象とすることとした。 また,教員経験者へのインタビュー調査から,介入プログラムの開発について当初は1回45分の授業時間を想定していたが,教育課程を圧迫してしまう懸念があることから,朝の会などの短時間で実施できる方法を再検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の学校現場における教職員の業務ひっ迫を考慮し,プログラムの評価指標となる質問紙の妥当性および信頼性検討のための調査を依頼することが憚られたため,予定していたレジリエンスに関するニーズ調査を行うことができなかった。そのため,1年目はレジリエンスに関する先行研究のレビューによる適切な評価指標の検討と介入プログラムの実施方法の妥当性についてのインタビュー調査を行うにとどめ,次年度の実施に向けて研究計画を修正し,研究代表者の所属機関の研究倫理審査への申請を行う段階までとした。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に実施予定だった評価指標となるレジリエンス尺度の妥当性および信頼性の検討と,研究代表者による介入プログラムの実施及び担任教師による授業実践の3つを,残りの研究期間を用いて一体的に行っていく。平野(2010)の二次元レジリエンス要因尺度を小学生用に文言修正を行ったもの,及び妥当性検討のための尺度として学級適応感尺度(江村・大久保,2012)を,県内1000名の児童を対象に1か月間の間を空けて2波による調査を行う。また,同時に県内小学校高学年の複数の学級の協力を得て,まず研究代表者による体験型心理教育プログラムを1か月間のうち4回にわたって実施し,その効果の検証を行う。その後,担任教師による実践を試み,効果についての検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により学会大会がオンラインとなり,旅費として使用することができなかったため。次年度は対面開催が再開されるため,ほぼ予定通り旅費として使用する。
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