研究課題
本研究は、検定教科書などの読解、オンライン授業含めた教員養成課程での教育実践などを通して、情報活用能力育成に対して経済(学)的視点で貢献できる教材開発のための基礎的要件を検討することを目指している。2021年度は、主に以下の2点に関する実績があった。1.文献読解2つの研究について成果報告した。第1に、小学校3・4年生の社会科の地域学習では教科書以上の役割を担うこともある地域の副読本での経済統計図解の表現を、教科書と比べつつ内容別に整理した。副読本は、算数の教育課程とグラフ表現が一部非整合的、かつ4年次の内容に関しては教科書より統計図解が不足しているなどの課題を有している。一方でその分独自性のある表現も見られ、そうした特徴をふまえて利用することが必要である。第2に、中学校社会科公民的分野での「情報化社会」に関する教科書間での扱い方の異同から、他の社会の特色や他教科での先行学習内容との関連づけなど、授業実践のための示唆を導出した。2.大学での教育実践オンライン同期型での卒業研究発表会、ICT関連の授業での取組をまとめた。前者に関しては、意見を表明しやすい環境設定、接続の安定性など、学生自身が将来教師として授業実践する際にも同様に重要になる示唆を得られた。後者は、社会科を主専攻とする教科での取組を教育の情報化の動向に沿って整理した。加えて、(1)小学校プログラミング教育、(2)GIGAスクール構想による一人一台端末環境の下で初等・中等教育の現場において用いられるアプリの活用に、それぞれ焦点をあてて各教科での取組をまとめた実践論文にも参画した。
2: おおむね順調に進展している
学会・研究会での報告、実践論文を一定のペースでできた。また、これまでに学会報告した内容を論文の形として整理し、査読付雑誌に複数投稿した。他方、文献読解などは教科内容により具体的に踏み込んだ分析が必要であり、加えて教育実践の量的データ分析も一部未完である。
2022年度は、高校の地歴公民科の必修3科目(地理総合、歴史総合、公共)の教科書を中心に分析を進めたい。それも含めた文献読解については、結果から導出される含意の充実を図るため、教職大学院などで携わる予定の現職教員の授業実践とも照合したい。また、大学での授業実践についても、これまでの成果をふまえて項目の絞り込みをするなどして量的データ分析を充実させたい。
全体の額に比べると微小ではあるが、Covid 19の影響で学会旅費が不要な状況だったため、物品、書籍の購入計画に微調整があった。研究に必要な物品、書籍の購入に充てる。
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信州大学教育学部附属次世代型学び研究開発センター紀要 教育実践研究
巻: 20 ページ: 1-10
巻: 20 ページ: 11-20
巻: 20 ページ: 31-40