研究課題/領域番号 |
21K02762
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
利光 和彦 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (10180150)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 触診教育システム / 力触覚インターフェース / 計算医療工学 / 粒子法解析 / 遠隔診療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,新しい触圧インターフェースを用いた症例対応型VRモデルによる触診教育システムおよび手術シミュレーションに対応できる粒子法解析プログラムの開発である.本年度は,実用化のための基礎研究として以下の3点を行った. (1)新触圧インターフェースとしてウエアラブル接触力センサーHapLog(株テック技販製)を購入し,リンパ節腫瘍人工モデルにおいて,触圧センシングが可能であることを確認した.(2)教育用(主に医学生向け)として,触診感覚と症例を関係づけながらより実践的にVRで臨床教育・実習を行えるようにするための準備として,乳房のMRI撮影画像から画像処理を行い,正常組織と乳腺組織を判別できる人工生体モデル基礎データを作成した.(3)粒子法の計算プログラム開発として,「リンパ節腫瘍の触診を対象とする実験と計算の比較検討」,「乳房の重力大変形を対象とする実験と計算の比較検討」を行った.特に,リンパ節腫瘍を対象とするしこり非一様剛性埋め込み型人工生体モデルの触診動作による変形に対して,これまで押込量において実験と計算で1mm以上の違いが生じていた問題点を解決するため,人工モデル縦弾性係数の非線形性に着目する改良を行った.実験で,人工生体モデル縦弾性係数を詳細に測定し,小ひずみ範囲で線形,これより大きなひずみで,1次関数で近似できることを明らかにした.さらに開発中粒子法プログラムにこの非線形性を組込み,0~4Nの触診力に対して実験と粒子法計算は,良く一致する改良に成功した.②実物大の乳房モデルを想定した半楕円体(短軸10cm,長軸20cm)の人工生体モデルによる変形実験と計算を行い,最大約20mmの大変形に対して良く一致することを確認した.③さらに,術前の患部除去(モデルの切断)シミュレーションにも対応できるよう試験的にプログラム改良を行い,計算可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度目標としていた,新触圧インターフェースの購入・基礎検討,粒子法の計算プログラムの開発などほぼ計画通りに実施出来たが,新インターフェースのシステムへの組込み部分が遅れている.一方,粒子法による数値解析プログラムの開発は,ほぼ予定通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
前述の現在の状況を踏まえ、下記のような方針で進める。 (1)備品購入したウエアラブル接触力センサーHapLog(株テック技販製)のVR触診システムへの組込みのさらなる検討.(2) 非一様硬さの乳房人工生体モデルの作成,同モデルの重力変形実験による変形量測定および本開発中プログラム数値計算と比較.(3) よりリアルな正常組織と乳腺組織を判別できる人工生体乳房モデルの作成と変形実験および計算.(4)乳房単純化モデルによる,患部除去(モデルの切断)ができる解析プログラムの改良および実験値との比較によるプログラム解析の妥当性の検証. 以上のように,現時点で,研究遂行に特に問題ない.
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