研究実績の概要 |
2023年度(最終年度)の実施事項として,以下である. 【新触圧インターフェース】基本形状モデル(直方体)に医師指定の症例「耳下リンパ節腫瘍」,「乳がん」に対応する可変硬さしこりのある患部人工生体モデルを作成し,ウエアラブル接触力センサーHapLog(2021年度,購入備品で購入)およびwebカメラを用いて,実触診指をリアルタイムでVR動作に連携することができた. 【粒子法の計算プログラム】 乳房の乳腺の効果を考慮する変形を模擬するため,弾性係数が異なる2つの組織で構成する2重半楕円体モデル(外側が乳房脂肪,内側が乳腺に相当する)を新規に作成し,非線形弾性係数を実測し,本粒子法数値解析を行った.本研究で開発した粒子法数値解析プログラムは,実験に対して20%の差で大変形が推定可能であることを確認した.さらに同じモデルにカット面を加えて変形実験および数値計算を行った.このカットモデルの場合では,非常に大きな変形のため本粒子法の計算プログラムでは計算が難しいことが分かり,今後の課題となった. 研究期間全体で得られた成果は以下である.乳がんおよびリンパ節腫瘍を想定した,楕円体および直方体人工生体モデルを作成することができた.このモデルは,しこり硬さが可変可能でリアルタイムで症例に対応したしこり硬さにすることができる特徴がある.さらに,新しい触圧インターフェースとして,さわる感覚を失わずに触診指先端の変形から触診圧などの状態および触診位置を検出するシステムを構築した.これは,ベテラン医師の触診テクニックをデジタルデータとして詳細に保存できるため,研修医などが学ぶ教育データとすることが可能と考えられる.一方,VR触診システムに援用するための粒子法の計算プログラムは,大変形,非一様の2つの特性をもつ人工生体モデルに対して触診に使用可能と考えられる精度で計算可能なプログラムを開発した.
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