本研究では,大学の理系研究室に所属する学生を対象にインタビュー調査を行った.その結果,大学の理系研究室では,誰もがみな研究は思ったほどうまくいかないという現実に直面し,その現実を乗り越えるには,まず研究室の一員として受け入れられていることが必須であること,そして学生はそのような環境において,研究者としての自身の適性を吟味し,研究者を目指し続けるべきかを検討することが示唆された.一方,研究がうまくいかないときに必要なサポートを受けられない場合,学生は自身の適性を吟味する機会が持てず,自分は研究者としての適性が欠如しているのだと判断して研究者を断念することがわかった.
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