研究課題/領域番号 |
21K03289
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松谷 茂樹 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (30758090)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アーベル関数論 / 代数曲線 / σ関数 / 非線形可積分方程式 |
研究実績の概要 |
2021年度は、一般の閉Riemann面でのσ関数の構築に注力した。一般の閉Riemann面は数値半群で非空隙列が記述されるWeierstrass点を持っており、それを明示的に示したWeierstrass標準形式の曲線と双有理である。 Weierstrass標準形式に着目し、数値半群の専門家である米田二良教授(神奈川工科大)と議論を重ねながら、一般の閉Riemann曲面でのσ関数の構築に注力した。Dedekindの差積より第三種微分を代数的に表現できることも判ってきており、これらをより精緻化する事で達成を目指した。 これらの理論構築はほぼ出来上がっており、現在、論文化に向けて、研究集会においてや,Zoomやe-mailを通して,研究関係者との議論を行っている。例えば,2021年10月22日に早稲田大学の双曲幾何幾何学的群論セミナーにおいて,「代数曲線のWeierstrassσ関数」として発表をさせて頂き,議論をして頂いた。更に、研究内容の概要を月刊誌「現代数学」に毎月エッセイとして連載中であり、それらのエッセイを通じて、情報交換も行い、内容のブラッシュアップを行っている。 また、可積分系の応用としては、弾性曲線論の一般化として、励起状態の弾性曲線の形状に関して研究し、MKdV方程式の種数2の解に関わる形状を数値計算によって形成し、Emma Previato氏(Boston大)と共著論文としてPhysica Dに発表した。本テーマはDNAの超らせん形状に関わるものである。 また、アーベル関数論には直接関連しないが、アーベル関数論で検討したEisenstein整数の検討の応用として、「結晶のらせん転位の代数的整数論の観点からの研究」を論文としてMathematics and Mechanics of Complex Systems誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的には、2021年度の計画に従い、無限遠点をWeierstrass点とする点つき閉リーマン面でかつ、Weierstrassの正規形式と呼ばれる代数方程式に従う代数曲線でのDedekindの差積に関しての研究を予定通り遂行している。Kunzの「平面代数曲線入門」に記載された平面曲線に関する議論を、(3、q、r)型の曲線に対する結果(J. Komeda、 S. Matsutani and E. Previato、 The sigma function for trigonal cyclic curves, Lett. Math. Phys. 109 (2019) )などを参考に、一般化することができた。 現在、この内容を論文としてまとめる方向で原稿の執筆をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
具体的には、2021年度の計画に従い、無限遠点をWeierstrass点とする点つき閉リーマン面でかつ、Weierstrassの正規形式と呼ばれる代数方程式に従う代数曲線でのDedekindの差積に関しての研究を予定通り遂行している。Kunzの「平面代数曲線入門」に記載された平面曲線に関する議論を、(3、q、r)型の曲線に対する結果(J. Komeda, S. Matsutani and E. Previato, The sigma function for trigonal cyclic curves, Lett. Math. Phys. 109 (2019) )などを参考に、一般化することができた。 現在、この内容を論文としてまとめる方向で原稿の執筆をおこなっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、2月、3月に予定していた学会、研究会が中止となったため、旅費の出金が必要なくなったためである。 また,Windows11に対応するようにPCのリプレースを行う計画であるが、応用の視点からよりハイスペックPCに変更し、研究を加速させることを計画している。
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