研究課題/領域番号 |
21K03295
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下村 哲 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (50294476)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ソボレフ関数 / 楕円型偏微分方程式 |
研究実績の概要 |
楕円型偏微分方程式の解について、存在と一意性、正則性などの解析的な性質を研究する方法はいくつかあるが、ペロンの方法に代表されるポテンシャル論的方法はその有力なものの一つである。特にソボレフ空間とそれに付随する容量の概念は、方程式の弱解の正則性を調べ、それが強解であるかどうかを判定するのに欠かせない道具である。本研究の目的は、ソボレフ関数を利用して、楕円型偏微分方程式の解がもつ解析的な性質をポテンシャル論的方法により研究することである。本年度は次のような研究を行った。 2重層汎関数に対するリースポテンシャルに対する連続性、2重層汎関数に対するHardy-Sobolevの不等式やTrudingerの指数積分不等式、2重層汎関数に対する分数冪極大作用素の有界性について成果を得た。Herz-Morrey空間に属する関数のリースポテンシャルに対する弱有界性やHardy-Sobolevの不等式などについて成果を得た。 Herz-Morrey-Musielak-Orlicz空間やMusielak-Orlicz-Morrey空間に属する関数のリースポテンシャルに対するソボレフの不等式、非有界な擬距離空間のMusielak-Orlicz空間上の分数冪極大作用素の有界性、grand Morrey 空間におけるソボレフの埋め込み定理、半空間における分数冪極大関数やグリーンポテンシャルに対するソボレフの不等式について成果を得た。Orlicz-Morrey空間におけるTrudingerの指数積分不等式などに関しても成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Musielak-Orlicz空間やHerz-Morrey空間などの関数空間において、極大作用素の有界性、リースポテンシャルに対するソボレフの不等式、Hardy-Sobolevの不等式に関する結果などを得た。非有界な擬距離空間のMusielak-Orlicz空間上の分数冪極大作用素の有界性、距離空間のMusielak-Orlicz-Morrey空間に属する関数のリースポテンシャルに対するソボレフの不等式に関しても成果も得た。このように、本年度予定していた以上の成果を得ることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究をさらに発展させるために、昨年度に得た結果の証明のアイディアをもとに、non-doubling測度距離空間上のMusielak-Orlicz-Morrey空間に関するソボレフ型定理などの研究に取り組み、変動指数をもつ関数空間上におけるソボレフ型定理をさらに発展させるとともに2重層汎関数に対しても発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦のため、予定されていた研究集会が中止や延期になったり、研究連絡を控えたりしたため、次年度使用額が生じた。本年度は、その繰り越し額と本年度予定されていた額を合わせて、研究課題に関連した研究集会等に参加したりして、本研究の遂行に必要な情報の収集に努める予定である。
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