研究課題/領域番号 |
21K03325
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水谷 治哉 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10614985)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 分数階シュレディンガー作用素 / 高階シュレディンガー作用素 / ストリッカーツ評価 / 平滑化作用 / レゾルベント評価 / 波動作用素 / 重みつき有界性 |
研究実績の概要 |
研究計画に基づき、以下の2点について研究を行なった。 1. 分数階および高階のシュレディンガー作用素に臨界なハーディー型ポテンシャルを摂動した自己共役作用素に対する幾つかの大域的性質を証明した。まず、Mourre 理論を用いて加藤-谷島型レゾルベント評価を証明し、これと滑らかな摂動論を組み合わせることで加藤型平滑化作用およびストリッカーツ評価を示した。さらに、レゾルベント方程式を用いて一様ソボレフ評価等も証明した。これは通常のシュレディンガー作用素に対する先行研究を大幅に拡張、統一化する結果である。さらに、今後の研究計画で予定している非線形問題においても本質的な役割を果たすと考えている。この結果は国際論文雑誌「Communications in Mathematical Physics」に掲載済みである。 2. 4階シュレディンガー作用素を空間1次元において考察し、ゼロレゾナンスの存在・非存在に関わらず端点指数を除いて波動作用素がLp有界であることを示した。さらに、一般の対称なMuckenhoupt重みに対する重みつき有界性や端点指数における有界性の破綻および弱い意味での有界性など、既存研究では扱われていないような、より精密な性質も証明した。さらに、ゼロレゾナンスがない場合に、波動作用素の有界性・非有界性について完全な分類を得た。これは今後の研究計画に対して基礎となる結果である。この結果は論文にまとめ現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画で予定していた定常問題の解析(レゾルベント評価の証明)に加えて、ストリッカーツ評価や波動作用素の有界性など次年度に予定していた部分についても進展が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた波動作用素に対する結果をより一般の高階シュレディンガー作用素および高次元の場合に拡張する。並行して、今年度得られたストリッカーツ評価を対応する非線形問題に応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果発表および研究打ち合わせのために数件の国内出張を計画していたが、コロナウイルス感染拡大のために中止となった。それに伴い講演用の電子機器の購入も差し控えた。そのために次年度使用額が生じた。次年度はワクチンなどのために、コロナウイルス感染拡大の状況が比較的落ち着くと考えられるので、国内出張およびそれに必要な電子機器の購入に次年度使用額を使う予定である。
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