研究課題
基盤研究(C)
室温以下の固体中では、電子の持つ内部自由度(電荷・スピン・軌道)が相互作用を通じて複雑に絡み合うことにより興味深い協力現象が発現する。本研究の主題となるのは、軌道自由度をもつフラーレン化合物である。我々は量子統計力学に基づき、フラーレン中の電子が及ぼしあう特異な相互作用が誘起する電子状態を明らかにした。さらに、そこで構築された理論手法を、多軌道電子系を有する一般の物質群にも適用できるよう拡張を行った。
強相関電子系
フラーレン物質に代表される強相関電子系では、電子そのものではなく、相互作用によって電子同士が結合した複合体が発現し、これに起因して様々な興味深い現象が引き起こされる。このような物理は、通常の電子に由来する現象とは質的に異なるものであり、新しい電子物性・機能の開拓につながる可能性がある。さらに、本研究で構築した理論枠組みは他の物質にも適用できるため、今後、この手法を一般の物質群に応用して新規現象を探索することができる。