研究課題/領域番号 |
21K03715
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西田 究 東京大学, 地震研究所, 教授 (10345176)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地球内部構造推定 / 脈動 |
研究実績の概要 |
近年、地震とは独立に海洋波浪によって励起される地震動である脈動が注目されています。周波数0.1-0.3 Hzの帯域ではレイリー波とP波が強く励起されていることが知られています。本課題では、脈動実体波を地震のような空間的に局在化したイベントとして扱うことで地震波干渉法の実体波抽出における問題点を克服し地球深部構造推定を行う手法を提案しています。 本年度は、昨年度に引き続き0.1-0.3Hzの周波数帯域でS波脈動の励起について系統的に調べました。得られた脈動S波のカタログは、脈動SV波のパワーが脈動P波のパワーの3-10%程度、脈動SH波のパワーが脈動P波のパワーの3%程度と見積もられました。また、脈動P波のパワーで規格化した脈動SH波のパワーは波源域の堆積物のS波共鳴周期が長くなるほど大きくなる傾向が見られ、脈動SH波の励起に波源域でのS波の共鳴が関連することを示唆しています。 本年度は日本列島下の上部マントル・遷移層の構造を推定するため、昨年度Hi-netデータを用いて推定した一般化レシーバー関数を、深さ100-1000 kmに投影しました。得られた結果は大局的には地震波形を用いた先行研究の結果と整合的である一方、以下の3領域で先行研究とは異なる構造を示しました。(1)九州東部から四国西部にかけて410 km不連続面の上昇が見られ、直上に地震波速度の鋭い不連続面が存在する可能性を示唆しています。(2)北海道北部から樺太にかけて410 km不連続面の上昇が見られました。これは、太平洋プレートの沈み込みに伴うものと考えられます。(3)北緯37度東経133度付近においてマントル遷移層の厚さが周囲に比べ薄くなっている領域が見られました。この構造は、沈み込んだ太平洋プレートの裂け目と関連している可能性があります。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度得られた成果をまとめ、本研究課題の主要な成果として投稿論文として発表したため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
日本列島のデータを使っている限りにおいて、カタログの空間的なカバレージには限界がある。今年度に引き続き北米などのデータを用いた解析を行い、今後は各国に展開されるより多くの地震波形データに適用し、より広い領域をカバーした実体波脈動のカタログ化を行う予定です 現在はP-s変換の検出のみ成果と投稿論文として発表しましたが、今後は異なった深度で変換・反射した地震波を解析する予定である。また、これまでの研究成果は観測点直下の構造に注目してきましたが、今後は脈動直下の構造を如何に推定するか長期的に取り組んで行く予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究としては2023年度内に成果を得ることが出来たが、一部投稿論文化するに当たって投稿料など諸費用がかかる予定のため。
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