白亜紀に発生した海洋無酸素化事変(OAEs)は,温室期における地球システムを理解する上で,重要な研究対象であり,本研究では,OAEsの発動要因として注目されている“風化仮説”の実態と影響を検証した.その結果,極度の温暖化が進行した時期に,海洋無酸素化が引き起こされたことが知られているが,この現象には大陸地殻の風化作用の増大が深く関与していることが明らかになった.特に,今回の結果は,閉鎖的な地域の研究事例ではなく,大海洋である太平洋沿岸で検知されたので,温暖化に伴う汎世界的な気候変動応答であることが示唆される.
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