研究課題/領域番号 |
21K03825
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
竹島 敬志 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (10179632)
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研究分担者 |
小崎 裕平 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (50819315)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 凍結濃縮 / 混合性能 / PIV解析 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
液状食品に含有する成分の変質及び損失が極めて少ない濃縮操作である、凍結濃縮システムの製氷ユニット(製氷部、冷媒循環部、制御部等から構成)について設計手法を構築する。その製氷ユニットにおいて,安定してより多くの氷粒子を長時間連続製造するため、製氷部内の混合性能及び混合性能の向上が製氷能力に及ぼす影響に関する調査が求められている。 本研究では、安定製氷に重要な一様流動化に適する製氷部内の掻き取り刃の形状について、製氷時の流れ場の可視化と数値シミュレーションを併用して調査する。 令和3年度は、刃の後端形状が異なる3種類の掻き取り刃を3Dプリンターで製作し、脱色法による混合性能評価及びPIVを用いて製氷部内の流れ場調査を実施した。それと並行して、掻き取り刃の回転により生じる製氷器内流れの数値シミュレーションを行い、それらの結果から攪拌性能向上に向けた設計指針を検討した。製作した掻き取り刃は、スラリーアイス生成装置に用いている標準掻き取り刃(Type1)、刃後端部を45度外側へ曲げた掻き取り刃(Type2)、刃後端部を45度内側へ曲げた掻き取り刃(Type3)の3種類で、刃の先端と製氷器とのクリアランスが所定の値となるように、軸本体と刃部を一体とした。材質はABS樹脂である。その結果、刃後端を内側に45°曲げた掻き取り刃(Type3)は、他の掻き取り刃と比べ、すべての領域で混合性能の向上が確認された。また、PIVによる流れの可視化によって、掻き取り刃後端で流速が高くなることを確認した。その範囲は刃の後端を内側に45°曲げた掻き取り刃(Type3)が最も大きい。後端を内側に45°曲げた刃の後部軸側において渦巻状の流れが確認できた。さらに流動解析において、掻き取り刃後端でPIVと同様の結果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度中に可視化実験装置から製氷ができる可視化実験装置への改良が完了する予定であったが、製氷に必要な冷媒循環部(冷却水循環装置)のデモ機の手配がおくれ、現在デモ機待ちの状況である。デモ機到着後に製氷実験を行い、製氷ができれば購入して製氷時の流れ場の可視化実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の結果から、まず刃後端を内側に45°曲げた(Type3)で氷の掻き取りが可能な刃を製作する。また、可視化実験装置を製氷ができる可視化実験装置へと改良する。 製氷方法として、室温一定の環境下で水溶液をタンクに投入する。タンク内に冷却コイルを設置し、冷却コイル内にはチラーからエチレングリコール冷媒を循環させ、タンク内の水溶液の温度を5℃程度に保つようにする。この水溶液は遠心ポンプによって製氷部内筒へ送り、循環させる。そして、掻き取り刃を回転させ、同時に冷媒循環部(冷却水循環装置)から冷媒を製氷部外筒へと送り、製氷部伝熱面にて熱交換を行う。生成した氷膜を掻き取り刃で削り取ることで氷粒子を作る。この氷粒子をタンク内に設置したフィルター内に滞留させることで濃縮を行う。 実験は、製氷部内で掻き取られた氷粒子の動きを、ハイスピードマイクロスコープ(キーエンス VW-9000)により可視化し、刃の後端の形状及び刃と中心軸とのクリアランスを変化させた掻き取り刃による製氷器内での氷粒子の動きの違いをPIVによる流れの可視化結果等から考察する。またそれと並行して、製氷部内の流れ場解析と氷粒子追跡による数値シミュレーションの製氷部設計への適用を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
製氷に必要な冷媒循環部(冷却水循環装置)のデモ機の手配が遅れ、購入できなかったことによる繰越し分である。また、コロナ禍で学会がオンライン開催となり、旅費が使えなかった。
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