研究課題/領域番号 |
21K04022
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
野口 敏彦 静岡大学, 工学部, 教授 (10237828)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 可変界磁モータ / 透磁率変調 / 拡張MTPA / d軸電流 / q軸電流 / 零軸電流 / 三相四線式インバータ / デュアルインバータ |
研究実績の概要 |
本研究課題は透磁率変調に基づく可変界磁PMモータにおいて,従来のd軸電流とq軸電流だけでなく透磁率変調電流とする零軸電流までも含めて三次元空間における最大トルク制御(拡張MTPA:Maximum Torque Per Ampere制御)を新たに構築し,従来のd軸電流とq軸電流だけからなる二次元平面上でのMTPA制御の枠組みを超えることを目的としている。 このため,2021年度は透磁率変調に基づく可変界磁PMモータについて,透磁率変調に用いる零相電流も考慮し,d軸,q軸,零軸からなる三次元空間で出力トルクが最大となるd軸電流,q軸電流,零軸電流の組合せを理論的に検討した。その結果,従来のd軸とq軸の二次元平面で考えられてきたMTPA制御を包含する形で三次元空間における拡張MTPA制御を確立することができた。以上の理論的な検討を通じて,零軸電流を含む電流ベクトルノルムが最小化され同時に出力トルクが最大化されるd軸電流,q軸電流,零軸電流の組合せが一意に定まることが解った。また,一連の理論的検討により拡張MTPA制御の条件を定式化することができた。これにより,d軸電流,q軸電流,零軸電流の制御アルゴリズムが明確化された。 一方,回路シミュレータを用いて透磁率変調に基づく可変界磁PMモータを駆動する三相四線式インバータシステムの構築を図った。このシミュレーションにより,d軸電流,q軸電流,零軸電流を同時独立に制御できることも確認した。また,三相四線式インバータシステムのみならず,デュアルインバータシステムの活用も検討し,透磁率変調電流である零軸電流の通流方式を複数考案した。このデュアルインバータシステムによるd軸電流,q軸電流,零軸電流の同時独立制御も回路シミュレーションによって確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の初年度である2021年度は,当初より以下の研究計画で推進することとしてきた。(1) 透磁率変調に基づく可変界磁PMモータについて,透磁率変調に用いる零相電流も考慮し,d軸,q軸,零軸からなる三次元空間で出力トルクが最大となるd軸電流,q軸電流,零軸電流の組合せを理論的に検討する。(2) 零軸電流を含む電流ベクトルノルムが最小化され同時に出力トルクが最大化されるd軸電流,q軸電流,零軸電流の組合せが一意に定まることを確認する。(3) 理論的検討により拡張MTPA制御の条件を定式化し,d軸電流,q軸電流,零軸電流の制御アルゴリズムを明確化する。(4) シミュレーションにより,d軸電流,q軸電流,零軸電流を同時独立に制御できることを確認する。 これら(1)~(4)の研究計画について,いずれも達成することができたので,「おおむね順調に進展している」と評するのが妥当であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は既に試作を完了している透磁率変調に基づく可変界磁PMモータ(7.5kW相当)を用いて,三相四線式インバータシステムでd軸電流,q軸電流,零軸電流の同時独立制御を実験的に試みる。 また,デュアルインバータシステムについて複数の考案方式を種々の観点から比較評価し,1~2方式に絞り込む。絞り込まれたデュアルインバータシステムについてもd軸電流,q軸電流,零軸電流の同時独立制御を実験的に試みる。 上記いずれのシステムも,既存のコントローラと既存のインバータ主回路を活用して実験装置を構築する。このため,研究開発活動は主に制御アルゴリズムの構築とプログラミング,デバッグと言ったソフトウェア開発が主軸となる。
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備考 |
http://www.noguchi-lab.com/paper.html にて国内外学術会議での口頭発表論文や査読付き学術論文のpdfをダウンロード可能。
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