本研究では、広視野での磁区観察における「白飛び」や「黒つぶれ」を抑えるため、複数カメラの同期撮影とHDR画像処理を用いた磁気イメージング装置を開発した。この装置により、広い視野での磁区観察と減磁過程の解析を行い、結晶組織との関連を明らかにし、高耐熱磁石の設計指針を導出することを目指した。装置はKerr効果顕微鏡にダブルポートを組み込み、露光時間の異なる磁区像を動画として取得する。実験条件を最適化し、Nd-Fe-B系焼結磁石の初磁化過程における鮮明な磁区動画を得ることに成功した。さらに、熱減磁過程の磁区構造変化を観察し、統計解析を行い、磁区構造と結晶組織の関連を調べる基盤を築いた。
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