| 研究課題/領域番号 |
21K04350
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| 研究機関 | 宇都宮大学 |
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研究代表者 |
中島 史郎 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 教授 (00344010)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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| キーワード | 直交集成板 / 温湿度変動 / 養生 / 変形挙動 / 損傷 / 力学的性状 / 構造性能 / 定量評価 |
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| 研究実績の概要 |
研究実績の概要を以下に記す。(1)直交集成板を構造材とする実建物について直交集成板に作用する温湿度履歴を1年間継続して実測して、温湿度変動を類型化した。また、(2)類型化した温湿度変動を実験室内で再現し、再現した温湿度変動下にて直交集成板を所定の期間養生し、温湿度変動によって直交集成板に生じる変形や損傷に関する定量的な知見を得た。さらに、(3)直交集成板に生じる変形や損傷が直交集成板の面外曲げ強度・弾性係数、面内せん断強度・弾性係数、横圧縮強度に及ぼす影響に関する定量的な知見を実験により得た。一方で、(4)水分変動による直交集成板の変形を計算により求める方法として、木材の膨潤収縮理論を用いて、乾燥収縮によって木材に生じる応力と歪みを求め、求めた応力と歪みから直交集成板に割れが生じる力学的な原理を導くことを試みた。乾燥収縮を模擬した有限要素解析により、木材の繊維方向を直交させて積層し接着することによって木材に生じる応力と歪みを算出するための基本的な考え方と解析の方法に関する知見を得ている。さらに、(5)直交集成板の変形や損傷に起因する材料の強度・弾性係数の低下が、建物全体の構造性能に及ぼす影響について、構造解析ソフトを用いた解析を行い、所定の知見を得ている。強度と弾性係数を低下させる部位、強度と弾性係数の低下率を各々パラメータした解析を行い、水分作用による直交集成板の性能低下が建物全体の性能に及ぼす影響についての定量的な知見を得ている。
一連の研究により、水分変動により直交集成板に生じる変形と損傷、その変形と損傷による材の強度・弾性係数の低下に関する知見を得ている。一方で、直交集成板の乾湿繰り返し養生について、当初予定していた養生期間では、一部の試験体について想定していた変形が与えられず、養生期間を当初よりも長くして実験を行う必要があるという知見も実験により得ている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
直交集成板を構造材とする実建物の温湿度履歴の測定を行い、温湿度変動を類型化したデータを得ている。また、類型化した温湿度変動を実験室内で再現した環境下にて直交集成板を所定の期間養生することによって、直交集成板に生じる変形や損傷についての定量的なデータを得ている。さらに、直交集成板に生じる変形や損傷が直交集成板の面外曲げ強度と弾性係数、面内せん断強度と弾性係数、並びに、横圧縮強度に及ぼす影響に関するデータを得ている。一方、直交集成板に生じる変形を推定するためのモデル化の方法と解析の方法について検討し、作成している。さらに、変形や損傷によって直交集成板の材料強度や弾性係数が低下することによって、建物全体の構造性能がどの程度低下するかに関する知見も得ている。
以上のように当初予定した研究成果は概ね得られている一方で、当初予定していた養生期間では、一部の試験体について想定していた変形が与えられず、養生期間を当初よりも延ばした実験を行う必要があるという見解に至っている。このため、当初予定していた３年間では実験が終了しないため、１年間研究期間を延期して、現在、試験体を継続養生している。所定の期間養生を行った上で、試験体（直交集成板）の変形と損傷を測定し、試験体を強度試験に供する予定である。なお、直交集成板のモデル化については、その方法を作成済みであるが、今年度新たに得られる実験データを用いて、モデル化の妥当性を確認し、細部の調整を行う予定である。また、直交集成板を構造材とする建物の構造解析モデルと構造解析についても作成・実施済みであるが、新たに実験データを用いて構造解析結果の妥当性を検証する予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
現在養生を行っている試験体について、養生を継続して行い、所定の期間の養生を行った後に、試験体（直交集成板）の変形と損傷を測定する予定である。また、養生を行った試験についてその強度と弾性係数を求めるための強度試験を行う予定である。強度試験は、面外曲げ、面内せん断、及び、横圧縮試験を予定している。
一方、直交集成板のモデル化については、2024年度に新たに得られる実験データを用いて、モデル化に対する追加検証を行い、必要な場合にはモデル化の方法についてその細部を修正する予定である。また、直交集成板を構造材とする建物の構造解析モデルと構造解析についても、2024年度に得られる実験データを用いて構造解析を再度行い、これまでに得られている結果の妥当性についての確認を行う予定である。
また、研究成果を学術誌に投稿するための論文を2編執筆する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
研究費については3839円の残があるが、ほぼ執行し終えている。2024年度は、これまでに購入した試験体に対して、試験体の養生を継続して行い、さらに強度試験を行い、解析を行う予定である。実験を行う際に必要となる消耗品を購入する予定である。
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