研究課題/領域番号 |
21K04460
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研究機関 | 広島女学院大学 |
研究代表者 |
真木 利江 広島女学院大学, 人間生活学部, 教授 (60343620)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ランドスケープデザイン / 沖縄平和祈念公園 / 無名戦士の墓 |
研究実績の概要 |
2021年度の研究内容は、沖縄平和祈念公園の現地調査・資料収集にもとづくランドスケープデザインの分析と、戦没者記念を巡る概念整理と初期の慰霊碑の作品分析である。それぞれ実績として2022年度日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道)への「沖縄戦終結50周年の平和祈念公園におけるランドスケープデザイン」の投稿、2021年度日本建築学会中国支部研究報告「ヨーロッパにおける軍用墓地と無名戦士の墓の成立」の研究報告があげられる。 「沖縄戦終結50周年の平和祈念公園におけるランドスケープデザイン」は1990年代から現在に至る変遷を扱ったもので、これにより、沖縄平和祈念公園については、2020年度までに研究報告を行った「復帰記念事業平和記念公園のランドスケープデザイン」、「谷口吉郎による戦没者慰霊碑のランドスケープデザイン」(2020年度、2021年度日本建築学会大会学術講演梗概集)とあわせて、1970年代から現在に至る変遷の様相を明らかにすることができた。 「ヨーロッパにおける軍用墓地と無名戦士の墓の成立」は、記念碑・記念建築物に関する先行研究、とくに現代の戦没者慰霊に直接つながる記念・慰霊・追悼行為に関する研究について収集・整理し、モニュメントとメモリアルといった用語、死生学における戦争死の位置づけ、戦没者慰霊がはじまる社会的背景等について今後の考察の前提となる概念整理を行った。また第一次世界大戦における軍用墓地と無名戦士の墓の成立の背景と具体的な設計の特徴を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は予定していたとおり、沖縄平和祈念公園の1990年代のランドスケープデザインの変遷と特徴を明らかにし、研究成果を投稿することができた。一方で、当初の予定では2021年度中に長崎の平和公園について現地調査と資料収集に着手する予定であったが、現地調査に制限があったため、2022年度以降に予定していた記念碑・記念建築物に関する先行研究の収集・整理および概念整理を行い、その成果を報告することができた。 現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り研究を勧める。沖縄平和祈念公園に関するこれまでの研究成果をまとめ直し、戦後から現在に至る変遷の様相と特徴を明らかにする論文として査読付き論文集への投稿を行う。また、その成果を翻訳論文として投稿することも検討する。並行して、長崎平和公園については現地調査と資料収集を早期に実施し、1950年代、1960年代以降の2つの時代に区分してランドスケープデザインの変遷と特徴を明らかにする。 その後、広島・長崎・沖縄における建築とランドスケープデザインの具体的な記念表現について、比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウィルス感染防止対策の行動制限のため、予定していた現地調査と資料収集が十分に実施できなかった。2022年度に現地調査と資料収集を実施する。
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