研究課題
基盤研究(C)
準結晶は規則性を持つが周期性を持たないという特殊な結晶構造を持つ。この特殊な結晶相がなぜ安定化する仕組みとして、フェルミ準位近傍に擬ギャップを開くことで相を安定させていると考えられてきている。そこで本研究では擬ギャップを、直接観測できる手段である光電子分光測定から材料設計の指針を得ることを目的に研究を行った。2種類のエネルギースケールの擬ギャップを見出した。フォノン起源と電子状態そのものの起源の可能性があり、その区別するためには(擬)バンド構造を直接観測することが必要であることが分かった。
光電子分光
準結晶・近似結晶で擬ギャップが開くことは以前から議論されてきている。しかし系統的・定量的な議論はされてこなかった。本研究はその端緒となったと考えている。特に擬ギャップを定量的に評価するための指針を整理したことで、他のマクロ物性(比熱や電気伝導)との比較が容易になったと考えている。今後さらに多くの系で準結晶・近似結晶で擬ギャップの評価を行い、熱電特性や磁性といった有用な物性との対応がつけば、材料としての新しい分野が拓けることが期待できる。