本研究では、ラドン吸入後のマウス肺の被ばく影響を評価するため、抗酸化物質グルタチオンの持つチオール基に余分なイオウが結合した活性イオウ分子種に着目したメタボローム解析を行い、超低線量で慢性的に被ばくしたときの生体内の酸化ストレス状態がどのように制御されているかを明らかにした。被ばくとイオウ代謝の関連は分かっていないことが多く、放射線生物学分野でも新しい有益な知見が得られたと言える。また、適度な外部刺激によって酸化ストレスが制御される機構の一端が解明され、酸化ストレス関連疾患の新しい治療戦略等にも役立つと期待できる。
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