マイクロ波適用による有機合成反応の加速が1986年に報告されて以来,様々な反応系で効率向上が報告された。反応加速は反応系の直接加熱効果とする解釈が一般的であるが,触媒量低減や化学選択性向上などのマイクロ波特異効果が議論されてきた。報告者は不斉合成反応においてマイクロ波特異効果を熱的効果から分離する実験的検証に成功した。本研究では不斉ナザロフ環化-フッ素化反応においてエナンチオ選択性の維持を伴う反応収率向上が確認され、マイクロ波特異効果を確認した。また,不斉Diels-Alder反応においても,エナンチオ選択性を維持する若干の反応加速を確認し,マイクロ波特異効果を確認した。
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