研究課題
基盤研究(C)
合目的的にメカニカル結晶を開発することを目的として、ジチオナイト錯体の結晶が示す「2つのメカニカル機能(光照射によって、結晶が屈曲する機能と弾ける機能)」に着目し、新規なジチオナイト錯体の設計・合成を中心に研究を進めた。その結果、種々の置換基を有する新規ジチオナイト錯体およびジチオナイト錯体の類縁錯体の合成に成功し、メカニカル材料の創製につながる「メカニカル機能の諸特性と分子・結晶構造との相関」に対する知見を得ることができた。
錯体化学
メカニカル結晶は、光・熱などのエネルギーを直接材料の動きに変換できる「エネルギー変換素子や人工生体材料」等への応用が期待されている新しい材料である。分子結晶が示すメカニカル機能に関する研究は、様々な系の発見と知見の蓄積が必要な萌芽期にある。本研究は、構造および機能の多様性に富んだ有機金属錯体の合成を基盤としたものであり、本研究で得られた分子設計に繋がる成果は、偶然の発見に支えられているメカニカル結晶の開発に一石を投じるものである。