研究課題
基盤研究(C)
本研究は、複数の元素で構成される多元系無機化合物を対象として、長波長光から短波長光を作り出す新しいアップコンバージョン蛍光体の開発を目指した。そのために、さまざま手法で実際に物質を合成し、得られた試料の原子配列や光学的性質の評価と解析を行った。その結果、対象物質に対して適切なイオンを共添加することが、赤外光から可視光を生成するなどの波長変換特性の大幅な改善を可能にするとともに、利用できる光の波長域の拡張を可能にするなどの研究成果を得た。
固体物性工学
本研究で得られた成果は、将来的に太陽光から効率よく紫外光を生成するために必要となる有益な材料設計の指針となる。水素エネルギーは使用時に二酸化炭素を排出しないが、製造時には一般的に二酸化炭素の排出が伴う。本研究で得られたような学術的な成果の積み重ねが、製造過程で二酸化炭素を排出しない、太陽光と光触媒を利用した水分解による水素製造を可能にし、将来的なカーボンニュートラルの実現に寄与するものと考えられる。