研究課題
基盤研究(C)
アルツハイマー病の病態改善作用を持つペプチド因子ヒューマニンの老化に対する作用に着目して解析を進めた。神経細胞に薬剤で細胞老化を誘導したモデルでは、ヒューマニンは細胞老化を抑制したものの、細胞機能である開口分泌能力には影響せず、その効果は限定的であった。老化モデルマウスでは、老化による運動能力や認知機能などの低下を行動試験で評価し、ヒューマニンの効果を確認することができた。
神経科学 分子細胞生物学
血液中に含まれる抗老化因子の同定やその作用の解析は、老化の仕組みの理解を深めるとともに、健康寿命の延伸の方策を探る一助となる。ヒューマニンは、ミトコンドリアに由来しホルモン様の作用を持つ新規ペプチド群のひとつで、その機能解析は生理活性分子の新たな作用の理解にも貢献する。本研究では、ヒューマニンが神経細胞の細胞レベルでの老化を抑制することで抗老化因子のひとつとして働く可能性が示唆された。