大腸粘液層の脆弱化は大腸がん発症に関与することから,粘液層を強固に保つことが大腸がん予防において肝要である.しかし,大腸における粘液分泌機構に関しては未だ不明な点が多く,粘液分泌を起点とした大腸がん予防確立における問題点となっている.申請者は本課題において,転写抑制因子であるBach1が大腸粘液の質的制御に関わることを見出した.遺伝子改変マウスを用いた結果より,Bach1欠損に伴い,ムチン糖鎖におけるシアル酸やN-アセチルガラクトサミンが増加することが観察され,その作用機序として糖鎖修飾酵素の発現変動が関与する可能性が示唆された.
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