サトウキビ搾汁液に含まれる核内受容体PPARγアゴニスト活性物質の単離を引き続き行った。200Lの搾汁液を合成吸着樹脂、逆相カラムクロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィーを行うことにより、約50mgの活性物質を単離することに成功した。本化合物の化学構造を解析するにあたり、分子量スペクトル、核磁気共鳴スペクトル(各種2次元NMRを含む)、旋光度を測定した。その結果、その化学構造を6種まで絞り込むことに成功した。そこで化合物をメチル化それに引き続くトリメチルシリル化を行った後、分子量スペクトルフラグメントを詳細に検討することにより、活性本体化合物の化学構造を決定することに成功した。本化合物は以前とうもろこしより単離されていた、炭素数18かならる不飽和脂肪酸であり、構造中にγ-ヒドロキシ-α、β-不飽和ケトン構造を有する化合物であった。新規化合物ではなかったが、サトウキビに含まれていることは新規知見であった。またPPARγアゴニスト活性についても報告は認められなかった。ことから、この結果だけでは論文投稿できないことから、さらに生物活性の検討を行った。PPARγ-GAL4、GAL4-luciferaseレポータージーンアッセイ系を用いて、C18不飽和脂肪酸について、PPARγアゴニスト活性を評価した結果、いずれの化合物において高い濃度においても活性は認められなかった。すなわち今回得られた化合物における活性発現に重要な構造は、γ-ヒドロキシ-α、β-不飽和ケトン構造であることが強く示唆された。
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