研究課題/領域番号 |
21K05545
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
伊澤 かんな (佐藤かんな) 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (40456603)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞壁 / イネ科 / BAHD |
研究実績の概要 |
イネ科植物細胞壁に特有の成分であるフェルラ酸およびp-クマル酸エステル含有量を改変したイネを作成するために、初めにフェルラ酸およびp-クマル酸エステルの合成に関わるとされている12のイネBAHD遺伝子の解析を行った。塩基配列を基にした系統樹より、これまでの報告と一致して12のBAHD遺伝子は5つのグループに分類された。発現解析を行ったところ、7遺伝子がイネの節間で特に高く発現していた。この7遺伝子はイネ節間(すなわち茎)の強度維持に関わる可能性が考えられるため、この7遺伝子をターゲット遺伝子としてそれぞれを欠損させたゲノム編集個体の作製を行うこととした。ゲノム編集のためのターゲット配列選定にあたり、同一グループで高く発現している遺伝子についてはグループ内で相同性の高い配列をターゲットとし、グループ内の複数遺伝子を同時にゲノム編集することを狙いとした。 今年度は研究中断期間があったため、ゲノム編集に用いるターゲット配列の選定まで実施した。ゲノム編集用のベクターおよびゲノム編集個体の作製は次年度より開始する。次年度はゲノム編集用カセットを導入した組換えイネの作成およびゲノム編集が誘導された個体の選抜を行う。また、一方でBAHD遺伝子の発現抑制および過剰発現させたイネの作製も行う。得られた個体を用いて、細胞壁でのフェルラ酸およびp-クマル酸エステルの蓄積とイネの成育や強度特性との関連を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は研究中断期間があったため、ゲノム編集に用いるターゲット配列の選定まで実施した。今年度実施予定であったゲノム編集用のベクターおよびゲノム編集個体の作製は次年度より開始する。次年度はゲノム編集用カセットを導入した組換えイネの作成およびゲノム編集が誘導された個体の選抜を行う。また、一方でBAHD遺伝子の発現抑制および過剰発現させたイネの作製も行う。得られた個体を用いて、細胞壁でのフェルラ酸およびp-クマル酸エステルの蓄積とイネの成育や強度特性との関連を明らかにしていく。
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今後の研究の推進方策 |
研究中断のため、本年度実施できなかった遺伝子改変イネ用のバイナリーベクター作成を開始する。作製したベクターを用いて、ゲノム編集等により目的とするBAHD遺伝子機能を抑制させたイネ、および、目的のBAHD遺伝子を過剰発現させたイネを作出する。作製した遺伝子改変イネを用いて、フェルラ酸およびp-クマル酸エステル含有量とイネの成育特性や強度特性との関連を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は研究中断期間があったため、次年度使用額が発生した。 現時点で実施内容に変更はない。今年度研究室で新たに4年生および修士1年生の指導を担当するため、卒業論文や修士論文研究のテーマとして本研究に携わる学生を配置し、研究のスピードアップを図る。実験計画に変更がないため、本年度未使用額は次年度以降の試薬や器具などの購入にあてる。
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