植物細菌病害の防除は主に銅剤や抗生物質が用いられている。しかし、それらの多用による耐性菌の発生や環境微生物への影響が懸念される。農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」では、環境負荷の低減と持続的な農業生産の確保のため、2050年までに化学農薬使用量(リスク換算)を50%低減する目標を設定している。本研究により、葉面細菌の6型分泌系という生物機能を利用した植物の細菌病害防除の可能性が示唆された。化学薬剤による防除体系を補助する技術として期待されるが、複雑な生物間相互作用のある農業現場でも植物病害防除に細菌の6型分泌系という生物機能を利用できるかについては今後のさらなる検証が必要である。
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